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アクトシティ物語(アートワーク編)

ショパン像(ショパンの丘最上段)
浜松市とポーランドのワルシャワ市との音楽文化友好交流協会を記念して、ワルシャワ市から贈られたショパン像。ワルシャワ市内のワジェンキ公園にある有名なショパン像のレプリカである。4メートルもある大きな物で、同国のクラコフ芸術大学教授のマリアン・コニエチニィ氏の制作。ワジェンキ公園にあるものを三分の二程度に縮めているが、レプリカで作られたのは初めてで、勿論国外に輸出されたのも初。

レプリカ像を作ったのはワルシャワ市のGZUT社。同社のボジャルスキィ社長は自国から腕利きの工員四人を伴って来日、名古屋港から運ばれた像を十日余りで現場に設置した。ボジャルスキィ社長は「浜松は楽器作りの街だが、音楽の街づくりを目指していると聞いている。駅前のバスターミナルの地下道は、実に素晴しく、そこに置かれている大きな芸術作品は、音楽を象徴しているように思われた。そのような街の一角にショパン像が置かれることは本当にふさわしいことだし、私にとって誇らしいことだ」と話している。

掛井五郎「ドラゴンフライ」彫刻、ブロンズ、ろう型。(ショパンの丘スロープ上り口)
ホールへ導くスロープの入口にトンボがちょっと!止まっている。・・・・山河に恵まれた浜松に、風のように飛ぶトンボ。音楽は風のようであり、トンボは風を象徴する。小さな作品だが、訪れた人がハッと足を止めてくれたらうれしい。(静岡市生まれ)
田中信太郎「“Noa”あるいは音のディスタンス」彫刻、中国の緑石、緑青仕上げのブロンズ、ステンレス。(ショパンの丘スロープ)
音楽をテーマに、ト音記号と音符から全体の形をイメージしている。「抽象的でありながら、擬人化された物語のような作品にしたかった」と言う。金色の舟形、銀色の卵形、風に揺れる曲線などから連想が広がっていく。「ノアの方舟は創生、卵は誕生、・・・、それぞれの連想、解釈があっていいと思う。」異質の素材と異なる形の組み合わせが、未来空間の雰囲気を醸し出す。(日立市在住)
仲山進作「光と形」彫刻大理石。(ショパンの丘スロープ)
日本の庭園の「迎え灯ろう」のイメージだという。円柱を立て半分に割った下部に、サイコロ形が斜めに立っている。サイコロには直径5センチの色の付いた丸いガラス(ダルドベール)が60個埋め込まれていて、夜になると自動的に淡い色の透過光が出ている。ガラスは全て仲山氏の手作り。、「意図は簡単、音楽の広場で小さな光りが皆を出迎えようというもの」いろいろな色の光りが微かに灯る夜、散歩してみたい。(浜松在住)
大村富彦「啓示」ブロンズ、ろう型鋳造、(ショパンの丘スロープ)
台座、長い足を持つテーブルのような形、人の形、これらのバランスが神と人、自然と人々を取り巻く物事の関連を表している。「啓示」のシリーズの3作目。「足の部分が時間、足の上の四角い部分が大地、人の形は人間であり、啓示を受けた喜びを象徴している。(静岡市在住)
杉村孝「石をくった話」彫刻、泥冠石(はんれい岩)(ショパンの丘スロープ)
恐竜の歯のような楽しい作品。小さな手の人なら、歯の中の石に触れて動かすことが出来る。杉村氏は日本人の原初的な祈り、自然信仰をモチーフに「しゃぐじん」と題するシリーズ作品(石彫)を創作してきた。「表面は自然のまま、中の部分の磨いた面。その自然と人為の対比と、子供が親しめる感じを出してみたい」一個の自然石を二つに割って制作し、ステンレス棒を入れて接着している。(藤枝市在住)
濱坂渉「音響の台座」彫刻、石。(ショパンの丘スロープ)
子供の頃、土管をくぐったり、トンネルの出口に立ったりすると、音が変化した記憶は誰にもあるのではなかろうか。濱坂氏は、「音響環境に関連した彫刻を創ろうと思った」と話す。紡錘形の自然石の上部に穴を穿った部分があり、耳を近づけると中で周囲の環境の音が微かに反響する。この彫刻によってアクトシティを取り巻く音の微妙な変化を感じ取ってもらえればと考えました。
見崎泰中「緑の通信94−3A」彫刻、黒みかげ石。(ショパンの丘スロープ)
環境問題を含めた「緑」をテーマに作品を作ってきた。かつて浜松で「駅前全体を緑に」という議論があったが、山を表す円錐形の上に三つのコブのある葉がのっている。つややかな表面に思わず触れてみたくなるが、「なでてみてほしい」と見崎氏。木の葉のエピソードを緑にかかわる作品として抽象的に表現してみた。ショパンの像の下にあるため、「知人には、ショパンに捧げる三つの団子と言っていますよ」と笑う。(浜松市在住)
岡本和子「海について」立体画像(サウンド・スカルプチャー)、ステンレス。(憩いの広場)
高さ2メートル10センチ、柔らかさと力強さの同居する曲線が水や海を感じさせる。テーマは海。市の施設と民間の施設の差し渡しのブリッジに設置されるが、岡本氏は「この中空の橋から海が見え、海を越えると空間が変化する」と話す。その接点が彫刻。「彫刻自体が相反するエネルギーの接点であり、ここは海と橋の接点でもある。さらに遊びの感覚を取り入れて、“接点”を表現した。」(浜松市在住)
竹村通夫「祭り」立体造形(サウンド・スカルプチャー)ブロンズ。(憩いの広場)
凧揚げ、激練り、屋台・・・浜松祭りのダイナミズムと浜松市の活力を象徴している。竹村氏は「見て触れて、祭りの雰囲気を感じ取っていただければ」と話す。(浜松市在住)
関根伸夫「飛翔の天球」彫刻、ステンレス、石。(展示イベントホールエントランスホール前庭、1階外)
大地に直立する天然石(備前6方石)の先端からステンレスの天空が飛び立つ・・・そんな迫力ある作品。全体の高さは7メートル73センチ、球体の直径は2メートル40センチ、高さ2メートル70センチ。「大地の力が上昇して球となって飛んでいく。球はシャボン玉のように夢が膨らんでいくイメージ」と関根氏。球の中から球が生まれる形は夢の中に出てきたそうだ。磨かれたステンレスは周囲の街も空も見ている人も全て映し出し、様々な表情を示す。遠州灘海浜公園の作品「石人の泉の道」に次いで、浜松市では2作目。

※残念ながらステンレス球体を支える石柱にひびや亀裂が生じ倒壊の恐れがあるとして、2020年3月末に撤去それました。
手塚登久夫「梟」彫刻、黒みかげ石。(サンクンプラザ階段上下)
階段上の梟は羽ばたき、下は羽を閉じている。実際の形とは違うのだが、誰もがそれと分かる暖か身のある作品。長い間梟を彫り続けている手塚氏は、「僕の中の梟なのだろう」と話す。生まれ育った栃木県今市は、身近に緑豊かな自然が溢れていた。「故郷の森は、野鳥達との楽しい思い出の聖域だった。冴々とした空気の中で月に吠えていた梟たちは、いつの間にか居なくなってしまった」。街を行きかう人々を、石の梟はジッと見守っているようだ。
西野康造「風の中で」彫刻、ホルンの部分はチタンとチタン合金、支持柱は石。(サンクンプラザ)
楽器や翼をチタンなどの金属線を何百本も使って精巧な立体造形を行っている。今回は音楽、楽器を作品のテーマとし、市民の待ち合わせの目印にもなるモチーフとして「ホルン」を選んだ。
高田洋一「モアレの雲」立体造形、金属(アルミ、ステンレスなど)(パビリオン1階吹き抜け)
パビリオンの天上にワイヤーで固定された風で動く彫刻。細かくパンチングされた赤い円盤が4つ、風に合わせて回りながら重なり不思議な模様を織り成す。塔に明かりが灯る頃には、下からライトアップされて天上画が出現し、刻々と形を変える。風で運動する作品を作ってきた高田氏にとって、場所によって風の条件が異なる塔は難しい空間だった。「目に見えない風を、見える形で展開したかった。また、建築が光りをテーマにしているので、作品も光りをテーマにし、彫刻と建築を連動させてみた」と話す。外部からも模様や影が楽しめる。
真坂雅文「輪舞」彫刻、ステンレス。(楽器博物館・研修交流センター前庭)
近年、野外作品に取り組み有機的でスケールの大きい作品を制作している。