いよいよ今日は楽しみにしていた島巡りである。西表島・由布島・小浜島・竹富島の4島を丸1日、9時間で回るコースだ。嬉しくて朝5時頃目が覚めた。沖縄は日の出が本州より遅いので、まだ暗かった。6時半ごろ、レストランで洋食バイキングの朝食を摂った。今日もお天気は快晴無風の絶好の島めぐり日和だ。地元の観光会社、安永観光の迎えのバスが8時にホテルにやって来た。他にも何組かの観光客が乗り合わせた。5分ほどで港に着いた。船は満席だった。先ず西表島に向かった。船は可なりの高速で走った。40分ほどで西表島の大原港に到着した。
港からは島の観光バスで回った。港からバスに乗ると、すぐに信号機が1つあった。島の交通事情からすれば、全く必要のない信号機である。子どもの教育上の為だけの信号機だ。子どもが都会に出たときに信号機の見方が分からないと困るからだ。確かに途中時々地元住民の車に出会うだけだった。道路の端には、普通は「子どもの飛び出し注意!」の看板だが、ここでは「イリオモテ山猫の飛び出しに注意!」という看板がたくさん立ててあった。研究者にとっては人間よりもイリオモテ山猫のほうが大切な島なのだ。
20分ほど走ると写真でよく見る由布島への水牛車の乗り場に着いた。由布島は西表島のすぐ目の前である。何台か水牛車が待機していた。バスの一行がその内の1台に乗り込んだ。御者はいかにも島の”おじい”と言う感じで日焼けしてまっ黒であった。途中で三線を取り出して琉球民謡を弾いて歌ってくれた。飾り気のない素朴な歌声が良かった。15分ほどで由布島へ着いた。島は20分も歩けば一周してしまうほどの小さな島であった。全島が植物園になっていた。一周して島の土産物売り場でマンゴージュースを飲んだ。コップ1杯450円は結構いい値段だ。地元でも果物の100%生ジュースは結構高い。帰りの水牛は年寄りの水牛だった。行きよりも時間が掛かった。進んでいるのか止まっているのか分からないくらいのスピードだった。それでも20分ほどで西表島に着いた。帰りの御者は”おばあ”だった。やはり途中で三線を取り出して弾いてくれた。水牛車の天井に唄の歌詞が書いてあって、お客みんなで一緒に歌った。
水牛車の次はバスで仲間川の遊覧ボート乗り場に向かいボートに乗った。仲間川一帯は日本最大のマングローブの密林である。マングローブとは熱帯の海岸沿いの海水と淡水の混ざり合う場所に生育する植物の総称で、一つの木の名前ではない。潮の満ち干にさらされる海岸や河口近くの植物全体を指す。仲間川はほとんど高低差がなく、潮の満ち干で海水が流れ込んだり、水が引いたりしている。干潮の時は遊覧船が航行できないほど水が引いてしまうという。川の両岸は一面に見事なマングローブの森が続いていた。こんな風景は日本本島では見ることはできない。正に南国沖縄ならではの風景だ。
途中カヌーに乗った一行に出会った。こんな遊び方も時間があればやって見たいものだ。遊覧船で遡ること5キロ、日本最大のサキスマスオウノキと対面した。写真で見たとおり高さ3メートルにも及ぶ板状の根が見事であった。往復10キロ、1時間のボートによる仲間川遊覧を終って、同じ船で小浜島へ渡った。小浜島はNHKドラマ「ちゅらさん」でお馴染みの島だ。小浜港に着いて、島のマイクロバスに乗った。
バス会社の名前はちゅらさん交通、ドラマでお馴染みの「民宿こはぐら荘」も現役の民宿として健在だった。先ず向かった先はちゅらさん展望台。何でもちゅらさんである。“ちゅらさん”とは、沖縄の言葉で、“美しい人”とか、“純粋な人”と言う意味だそうである。 小高い展望台からの眺めは素晴しかった。エメラルド色の海の向こうは石垣島や西表島などが望めて素晴しい風景だ。島内は石垣の民家の間を通り抜けたり、さとうきび畑の中を走ったり、ドラマで見た風景そのままだった。ここでは最後にヤマハ系列の豪華なリゾートホテル「はいむるぶし」で昼食をいただいた。ここも一度は来てみたい所だった。何もない自然の中でのんびり過ごすにはいいところである。
さて、いよいよ島巡りの最後である竹富島に向かう船に乗った。沖縄は島から島へ船で渡らないといけない。現在は船も高速船で便利である。昔はさぞ、大変だっただろう。港について島のマイクロバスに乗り込んだ。先ず向かった先は「星砂浜」。波打ち際の珊瑚の砂浜を観察すると、星の形をした砂が見つかるという。じっくり観察すると“星の砂”と“太陽の砂”が見つかると言う。星砂は底生有孔虫の骨格だそうだ。私はなかなか見つからない星砂を探すのにすぐ厭いてしまって砂浜で子どもと遊んでいた猫と戯れていた。
星砂浜で10分ほど遊んで、次の目的地、水牛車乗り場に着いた。竹富島は沖縄の民家が今もそのまま残されている貴重な島である。私が一番来てみたかった島である。赤い屋根には表情豊かなシーサーたち。家々を囲む珊瑚の石積み。国の「重要伝統的建造物群街並み保存地区」に指定されている。竹富名物の水牛車に乗り込んだ。御者は以外にも若い美人の女性だった。水牛の名前は“カイジ君”と言っていた。狭い石垣と石垣の間の小道を水牛は慣れた足取りで、しかし、のんびりと歩いた。ここでも御者の女性が三線を取り出して沖縄民謡を唄ってくれた。小さな集落である、30分ほどで一周した。出来れば歩いてのんびり廻りたかった。
島巡りを終って再び石垣島に戻ったのは夕方5時半ごろ、ホテルの部屋で顔を洗って少し休んだところで夕食の時間になった。今日はホテルの中の中華レストランを予約してあった。老酒のオンザロックを飲みながら上海料理を美味しくいただいた。食後ホテルの売店を1時間ほど覗いて部屋に戻って風呂に入って、今日は丸一日島巡りで疲れたので10時頃寝てしまった。