アンドレのフォト・エッセイ「令和つれづれ草」No.149

「昭和レトロマッチ箱とライター」

ライター

我々の年代は昭和の時代を懐かしむ人は多い。居酒屋,寿司屋、喫茶店などの飲食店に行くと必ずその店の宣伝用のマッチ箱が置いてあった。箱ではなくマッチの軸が厚紙製でちぎって使うコンパクトなマッチもあって、ポケットに入れて持ち帰ってきたものだ。当時はそんなマッチが家の引き出しにゴロゴロしていたが、さすがに今は引き出しを探しても見当たらない。

私も若い頃は大人になった気分になりたくてタバコを吸っていた。昔はタバコを吸う人が多かったが、健康問題が世の中の主流になって、今では喫煙者は限られた喫煙場所でしかできなくなって肩身の狭い思いを強いられている。「あなたの健康を損なうおそれがあります、吸い過ぎに注意しましょう!」と、法律で表示を義務付けながら売り続ける不思議なタバコ。私も突然の体調不良で40歳で喫煙を止めた経緯がある。タバコの価格は6割が税金で国と地方の税収に大いに貢献している。こんな税率の高い商品は他にはない、喫煙者はもっと胸を張ってもいいはずだが。

いつの間にか100円ライターが登場してからマッチの需要がなくなった。今では100円ライターも見ないが、まだあるのだろうか。引き出しを整理していたらマッチ箱は出てこなかったが、懐かしいレトロなライターが出てきた。「RONSON」という銘柄のイギリス製のライターだ。だいぶいぶし銀の貫禄が出ている。わかる男の当時のライターの名品と言えばRONSON、dunhill、ZIPPOなどだ。「スーツのポケットからさりげなく出してタバコに火をつける姿がかっこいい」と思ったのは私だけだったか。自分で買った覚えはないが、誰かにもらったのだろうか、記憶はさだかではない。

これらの有名メーカーは今でも健在だが、昭和レトロなライターは、今ではネットでたくさん売っている。値段はいろいろだがヴィンテージ物は何万円もしているのもある。レトロなマッチ箱も千円前後で売っているが買う人がいるということか、昭和はいつの間にか遠くなってしまった。(2025.3.16)

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