アンドレのフォト・エッセイ「令和つれづれ草」No.147

「ヒヨドリに負けました」

ヒヨドリ

年金生活者の食料自給率を上げようと、庭に小さな畑を作って野菜を育てている。今は冬の料理の定番メニューによく使うブロッコリーやカリフラワーを植えている。暮れの11月頃、園芸店で買ってきて植えた苗が正月も明けて、今年は冬も温かかったからか葉っぱもずいぶん大きく育ってきた。

冬は虫に食われることもなく順調に育って、立派なブロッコリーやカリフラワーが成るのを楽しみにしていたある日、ヒヨドリがやってきて大きくなった葉っぱをついばんでいるのを目撃した。観察していると、毎日やってきては葉っぱを食べている。だんだん葉っぱが丸坊主になって茎だけになっているところもある。

「葉っぱが無くなったら、今年はブロッコリーもカリフラワーも成らないわね」と、かみさんが諦め顔につぶやいた。ネットを張るしかないが、今更張ってもしょうがないと諦めた。「去年まではこんなに食べられなかったのにね」とかみさんは言う。ヒヨドリの食生活も変わってきているのだろうか。

ヒヨドリだって人間と同じように生きていく権利はある。一昨年、庭のキンモクセイの木の中に巣を作って雛が3羽ほど孵ったことがあった。ヒヨドリが一生懸命生きる姿を見ていると可愛いものである。ブロッコリーとカリフラワーはあきらめてスーパーで買うことにした。ヒヨドリに負けました。(2025.1.26)

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