フジバカマの花に大型の蝶のアサギマダラがやってくるというのはよく知られている。なんでも東南アジアから日本にかけて1000キロ以上も飛ぶというので話題になっている蝶である。それならフジバカマを植えて試してみるかと思い立った3年前、フジバカマの苗を買って植えてみた。
3年目の今年になったらフジバカマが10月になって、2m四方に成長して見事に花を咲かせた。それから毎日、庭のフジバカマの花を眺めてはアサギマダラがやって来るのを待つのが日課になった。いつもやってくる馴染みの蝶が盛んに蜜を吸いに来る。こんな小さな庭に、はじめてフジバカマの花が咲いたからといって、そんなに簡単に1000キロ以上も飛んでやってくるわけがない。
あきらめかけていた10月末のある日の朝、なんとアサギマダラが花の蜜を吸っているではないか。夢かと疑ったが、羽の模様が間違いなくアサギマダラだった。あわてて部屋にカメラを取に行って夢中でシャッターを切った。和歌山県から香港まで2500キロを飛んだ個体も確認されているという。まさか東南アジアから1000キロ以上も飛んでやってきてくれたわけではないと思うがびっくりした。
もちろん日本で羽化している個体もたくさんいるから日本生まれのアサギマダラだと思うが、国内でも200キロ以上移動している個体が確認されている。どこで生まれた個体なのか想像するだけでも楽しいものだ。冬に向かって台湾にでも渡る途中に我が家に立ち寄ってくれたのかもしれない。フジバカマを植えて3年目にして夢がかなうとは思わなかった。夢はあきらめなければかなうものだ。我が家の今年の重大ニュースだ。
ちなみに和名のアサギマダラ(浅葱斑)は、藍で染めた時の「薄い藍色」が薄い葱(ねぎ)の色に似ていることから「浅葱色(あさぎいろ)」と呼ばれ武士の間で人気があったという。幕末の新選組の羽織の色が浅葱色だった。羽の色が浅葱色で黒い斑点模様があることからアサギマダラという和名がついた。(2024.11.10)