「あんぽんたん」漢字で書くと「安本丹」。間が抜けて愚かなこと、またそういう人。馬鹿・阿呆・盆暗・とんま・まぬけ・おたんこなす・・・「あんぽんたん」の類語はほかにもたくさんある。いずれも褒め言葉ではないが、何か失敗した時などに「アホ」「バカ」といわれるよりは軽い感じでやさしくてショックが少ない気がする。
語源は江戸時代にさかのぼる。江戸時代に出回った見た目が奇妙な魚が「あんぽんたん」だった。奇妙な魚とは、現代では唐揚げや煮つけにすると美味しい「かさご」のことだ。しかし、当時の江戸時代は、体の大きな割に身が少なく食べ甲斐がないといわれた。そこから、なりがデカいのに中身がスカスカなことを「あんぽんたん」というようになり、そんな間抜けな人を指す言葉になったという説がある。
もう一つ「あんぽんたん」は「阿保+だらすけ(愚か者)」が混ざって生まれた「あほんだら」から転じた言葉で、関西から江戸に伝わったという説もある。ほかにも、富山の「反魂丹(はんごんたん)」という薬の名前が由来だという説もあるが、単に音が似ているだけの推測ではと思われるとも。
たまたま5月に山陰地方に旅行に行った玉造温泉のホテルの夕食時にいただいた焼酎の銘柄が「あんぽんたん」だった。ユニークな名前のお酒だなと思って、食後にホテルの売店に行ったら売っていたので買って来た。旅行に行ったら地元のお酒を買ってくるのも楽しみの一つだ。
「島根県石見(いわみ)地方では珍しい麦焼酎。熟成焼酎をブレンドすることで、麦の風合いをしっかり味わうことができる。食事と合わせても飲み飽きない麦焼酎です。お湯割り・水割り・ロックのどの飲み方でもお楽しみいただけます」との説明書きがあった。名前の面白さを笑って許してくれる相手に贈るにはおススメのお酒です。
わたしは特に飲兵衛ではないが、毎晩のお風呂上がりにテレビを見ながら少しのお酒をいただくのは至福の時間でもある。その日によってビールだったり、ワインだったり、ウイスキーだったり、焼酎だったりだ。(2024.6.8)