シリーズ“趣味に生きる”

カリグラファー:金指佐知子さん

「カリグラフィー(Calligraphy)」とは、ギリシャ語で「美しい書き物」という意味です。昔から文字を単なる記録や情報の伝達手段としてではなく、文字そのものを神聖なものして、美しく書こうとしてきました。この言葉が使われるようになったのは西洋で16世紀から17世紀の初めといわれています。現在カリグラフィーで使われている書体は印刷機が発明される以前の手書き文字。それらの書体は完成度が高く、長い時を経た現在見ても、その美しさは変わることはありません。日本に紹介されて以来、日本の書道を愛する風土の中で徐々に育まれた。(「カリグラフィー」カリグラフィー・ネットワーク編)より。



Ono NO Komachi

The Kelmscott Chaucer より

カリグラファーの金指佐知子さんを紹介された時、初めて耳にする“カリグラフィー”とはどんなものか知らなかった。ネットで調べたら日本の書道に対して「西洋書道」のことだと知った。そうか、「アルファベットを書体を変えたりして書くことか」、と単純な予備知識で、2006年4月の初めに佐鳴台4丁目にお住まいの金指さんのお宅を初めて訪問した。

金指さんがカリグラフィーと出合ったきっかけは、17,8年前、アメリカで暮らす従姉妹からの手紙だった。封筒に書かれた芸術的な書体にカルチャーショックを受けた。「これはなんだ?、何て美しい文字なんだろう」。これが“カリグラフィー”というものだと言うことをその時初めて知った。もともとチャレンジ精神旺盛な金指さんは、早速自分も勉強したくなって指導者を探したが、当時は、まだ浜松ではカリグラフィーは馴染みがなく、浜松には希望するような指導者がいなかった。カリグラフィーは、西洋では古い歴史があるが、日本で盛んになったのはここ20年ほど前からと歴史が浅い。仕方なく最初は通信教育で勉強した。

カリグラフィーについて勉強をしていくうちに、カリグラフィーの真髄を極めたくなった。外国から有名な講師が日本に来た時は東京まで出かけて直接指導を受けた。しかし、通訳がいないため英語が出来ないと無理なことを悟り、英会話の勉強を始めた。文字だけではなく絵心も必要なことを知り絵の勉強もした。台紙には和紙も使う。自分のイメージに合った紙は自分で手作りしないといけない。和紙も自分で加工方法を探究した。作品を送る場合Eメールが必要と知り、独学でパソコンにもチャレンジした。カリグラフィーがこんなにも幅の広い芸術とは私も金指さんからお話を聞き、実際に作品を拝見するまで知らなかった。

カリグラフィーを書く道具は、金属製のつけペン、時には羽ペン、水彩絵の具、ポスターカラー、時には墨汁。紙は水彩画用の紙、和紙など多種多彩である。日本には和紙があり、墨があり、外国のカリグラファーからは日本の文化がとても魅力的で羨ましがられるという。

金指さんは5年ほど前、地元の佐鳴台公民館の要請でカリグラフィー講座を開き講師を勤めた。2ヶ月間22名ほどの生徒が熱心に金指さんの指導を受けて、バースデーカードやクリスマスカードの手作りに挑戦して、秋の公民館祭りで作品の発表を行った。


2001年にアメリカのワシントン市で行われた、「ワシントン・カルグラファー同好会」主催の「優雅な封筒コンテスト」に見事入賞され、ネットで発表されている。右の写真はその時のワシントン・カリグラフィー同好会での入選作品を紹介した冊子のページで、小さくて分かりづらいかもしれませんが、左上が金指さんの作品です。実際に切手を貼って郵送し、主催者当てに届いた封筒が審査の対象になるというユニークなもの。

また、隔年発行される日本のカリグラファー同好会の会報誌「Calligraphy Net-Work」には金指さんの素晴しい作品が毎号発表されている。その中の代表的な作品をいくつかご紹介します。



Fra Giovanni Letter to a Friend 1513

GARDEN OF GODS

方丈記

我が道

シリーズ“趣味に生きる”TOPへ