アンドレの「デジタルつれづれ草」106段

“ネバネバが健康のもと”


スーパーに行くと納豆の種類も豊富にある

いよいよ老人大国になった日本。赤ちゃん も含めて5人に1人が65歳以上の高齢者で す。日本が世界一の長寿国になったのは、 医療技術の進歩もあるが、健康度の高い和 食文化があったことに注目すべきです。病 気を治療するのは医者ですが、その前に病 気にならないための予防をするのは自分自 身です。そのために一番大切なことは毎日 の食生活です。いくら長生きしても、寝た きりでは何にもなりません。誰の世話にも ならずに自分のことは自分で出来て、自立 できてこそ長生きの意味があります。

最近、欧米では日本の伝統的な和食が健康 にいいらしいと大変人気があるそうです。 和食の特徴は一口で言うと大豆の多角的な 活用といっていいでしょう。枝豆、豆腐、 味噌、醤油、豆乳、そして納豆と、ほんと に多くの食品が大豆から作られています。 しかもその中で納豆は一番の優等生です。 納豆が健康や長寿、美容に効果があるのは 大豆を丸ごと使った食品であるだけでな く、発酵食品でもあるからです。あげれば きりが無いほど納豆の効能は沢山ありま す。

納豆の特徴は、なんと言ってもあのネバネ バでしょう。ネバネバの本体はポリグルタ ミン酸でうまみ成分として知られ、グルタ ミン酸が結合したものです。グルタミン酸 は化学調味料の主原料として知られていま すが、化学調味料は化学的に合成された結 晶体に過ぎませんが、納豆のグルタミン酸 は、納豆菌が一所懸命になって作った正に 天然100%のアミノ酸なのです。よくかき 混ぜると、奥のほうに隠れていたアミノ酸 も表面に出てくるので味がよくなります。 では、どのくらいかき混ぜるのが良いで しょうか。ある人の研究によると、右に1 5回、左に15回、合計30回が最も上手 く味わうことができるということです。

ネバネバ成分の効能で特筆すべきは、カル シュウム、カリュウム、鉄、亜鉛といった 重要なミネラルの吸収を助けてくれる働き です。納豆をきちんと食べることでミネラ ルを摂取し、骨折しにくい体を作ります。 納豆には血をサラサラにするという効能も あります。血栓溶解酵素ナットウキナーゼ はネバネバした糸の部分に含まれている生 きた酵素です。納豆菌の働きによって大豆 が発酵したときにだけに作り出される成分 です。納豆菌の強いほど大豆中のタンパク 質がアミノ酸にまで十分分解され、丈夫な 糸を引き、ナットウキナーゼも増加しま す。それを食べることで血の巡りを良くす ることが出来るのです。納豆は老人大国日 本の強い味方なのです。

納豆には全てのアミノ酸が含まれていま す。もともと大豆自体に35%も含まれて いるタンパク質が、納豆菌が出す消化酵素 によってアミノ酸に分解されており、タン パク質をとるよりもはるかに迅速にダイレ クトに吸収されるため、スポーツドリンク のような即効性があります。アミノ酸は私 たちの体を作っているタンパク質を構成す る物質で、積木の部品のようなものです。 アミノ酸は約20種類ほどで、この部品の さまざまな組み合わせによってタンパク質 をつくっています。20種類のアミノ酸の 内、人間の体内で合成できるのは11種類 だけ、残りの9種類は食物から摂らなけれ ばなりません。これを「必須アミノ酸」と いいます。

ところが肉や魚などの食物から摂ったタン パク質は消化されてから吸収されるまで、 かなり時間が掛かり、更にお年寄りは消化 酵素の分泌が減少していると、もっと時間 が掛かります。ところが納豆は最初からア ミノ酸になっているので食べると吸収が早 く、即戦力となって血液の中に溶け込ん で、全身の必要なところへ運ばれて力を発 揮することができるのです。

カルシュウムが不足すると神経の興奮を抑 える働きが低下し、イライラしやすくな り、怒りっぽくなることが分かっていま す。不足すると感情のコントロールが利き にくくなるのです。最近の若者が”切れや すい”のは、食生活の悪化からカルシュウ ムが不足しているのでは、ともいわれてい ます。ところが納豆の原料の大豆には10 0グラム中240ミリグラムも含まれてい ます。しかも発酵によってアミノ酸化され たタンパク質と一緒に摂ることになるため にカルシュウムの吸収効率が向上するとい うプラス効果があります。クヨクヨするの も一生なら、笑って生きるのも一生です。 どうせならいつもニコニコ暮らしたいもの ですね。

日本人の平均寿命は今や「80年時代」。 もうすぐ100歳になる可能性もありま す。反対に若年層は肉食比率の高い高脂肪 食品やインスタント食品、スナック食品、 砂糖を大量に使用した飲料水を日常的に過 食し続ければ、急速に寿命が減退する可能 性もあります。最近日常の食生活を見直す 機運が高まっています。知育、徳育、体育 に加えて「食育」という言葉を目にしま す。毎日の食生活にはなんと言っても和食 が一番、中でも大豆食品を大いに見直しま しょう。そして、今日も一生懸命お箸でか き混ぜてネバネバの納豆をいただきましょ う。(2006.12.8)

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