アンドレの「デジタルつれづれ草」96段

“大豆を食べる健康法:豆腐編”

主食となる重要な5種類の穀物を「五穀」 と呼ぶ。米、麦、粟、黍(又は稗)、そし て5番目に豆、つまり大豆である。元気で 活発に暮らすことを「まめに暮らす」とい う。その昔、豆と言う語に「魔を滅す」と いう意味で「魔滅」を当て字にしたり、万 の米に値する栄養があるという意味の「万 米」という当て字もある。古代の人々は科 学的な知識は持たないにもかかわらず、大 豆を食用とするだけでなく、薬として用い たり、厄除けやまじないに使ったりしてい た。大豆の秘められたパワーを知っていた のである。

大豆は遥か古代から人間と共にあり、食生 活が変化した現代でも私たちの健康を支え てくれる素晴しい食品なのである。昔の日 本人の食生活は穀物や野菜が中心で、食物 繊維を十分摂ることができたが、戦後日本 は肉を中心とする欧米型の食生活が入り込 み、動物性たんぱく質の摂取量が増えるに したがって、欧米型の現代病、ガンや成人 病、肥満が急増している。逆に最近欧米諸 国では健康に関心のある人々の間で大豆を 中心とするヘルシーな日本食、特に豆腐な どが健康食品として高い評価を受けている そうだ。

肉食中心で脂肪分の多い食事をしている と、脂肪を消化する胆汁酸の分泌が増え、 この胆汁酸が腸内の細菌によって発がん性 物質に変えられてしまう。植物繊維は、発 がん性物質を吸着して排出してくれるし、 植物性繊維を多く摂る事によって腸内の余 分な胆汁酸を減らすことが出来る。更に植 物繊維はビフィズス菌など腸内の善玉菌を 増やして、有害物質の発生を抑えてくれ る。植物繊維が豊富な大豆や大豆食品は大 いに食べたいものである。

大豆から作る日本の昔からの代表的な食品 には、豆腐、納豆、味噌、醤油などがある が、今回は豆腐の話である。大豆を水に浸 して十分水を吸わせてからすりつぶすとお 粥のようになる。これを「呉(ご)」とい う。呉を煮て繊維質(おから)を濾したも のが豆乳。これに凝固剤を加えて固めると 豆腐が出来る。

豆腐のたんぱく質は、ふんわりした食感か らも分かるとおり97%の消化吸収率、動物 性たんぱく質と比べても見劣りしない。し かも動物性たんぱく質で心配なコレステ ロールがほとんどない。なんと言っても胃 腸にやさしいのが豆腐の魅力である。植物 性繊維をたっぷり含んだ大豆そのものは消 化に時間が掛かるが、豆腐なら胃腸が弱っ ている人でもすんなり消化できる。大豆の 栄養はそのまま、味も感触もグーンと優し くなった豆腐は、健康な人も病気の人も、 老若男女全ての人に適した素晴しい食品で ある。

ところで「木綿豆腐」と「絹ごし豆腐」の 違いをご存知だろうか。「木綿豆腐は木綿 で濾して、絹ごし豆腐は絹で濾してある」 ・・・・・と、私も以前はそう思ってい た。表面がザラザラして布目がついて少し 硬く弾力感があるのが木綿豆腐である。木 綿豆腐を作る場合、豆乳に凝固剤で固めた ものを一旦崩してしまい、このときに出て くる黄色い上澄み液(これを「ゆ」とい う)をすくい取ってから型箱に入れて圧力 をかけて、更に残っている「ゆ」を搾り出 すと木綿豆腐が出来上がる。表面に布目が ついているのは、この型箱に濾し布を敷い てあるからである。

一方絹ごし豆腐は、滑らかな舌触りとツル ンとしたのど越しが決め手。こちらは豆乳 をそのまま型に入れ、凝固剤を入れて固め る。木綿豆腐と違って「ゆ」を絞り、「ゆ 取り」をしないので水分が多く滑らかに仕 上がる。型に布を敷く必要がないので表面 に布目がつかない。べつに絹で濾してある 訳ではないのだ。・・・・・ご存知でした か。

豆腐のやさしい味と舌触りは何にでもすん なり溶け合うのでいろいろな料理に幅広く 使われる。しかも、豆腐自身も様々な形に 加工され姿を変える。焼き豆腐、油揚げ、 がんもどき、飛龍頭、高野豆腐など、すべ てお馴染みの食材である。生でよし、煮て よし、焼いてよし、豆腐のバリエーション は実に豊富である。

豆腐を作る過程で出来る、豆乳、おから、 湯葉も優れた大豆食品として見逃せない。 豆乳は豆腐を固める前の状態だから、豆腐 よりも更に消化吸収率がよく栄養たっぷり の大豆食品と言える。たんぱく質なども牛 乳を上回るほどである。昔は豆乳は独特の 青臭さがあって苦手な人も多かったが、最 近は随分飲みやすく加工されている。健康 飲料として人気があるようである。

我が家では、朝忙しかった共稼ぎ時代の名 残から、今でも朝食はパン食である。少 し前まで飲み物は牛乳だったが、最近豆乳 に変わっている。牛乳よりも体に優しいと いう、かみさんの心遣いである。自分が還 暦に近くなったので健康にはいろいろ気を 使うようになった。

時々、かみさんが遠方へ出張?の日は夕食 を一人でいただく(さみしーい!)。私 は料理はほとんどダメなので、そんな時か みさんは夕食を作って冷蔵庫に入れて、 「チンして食べてね!」と言って出かけ る。「いいよいいよ、スーパーで何か買っ て食べるから」と最近は私も時々かみさん に気を使ったりしている(年金生活者は つらーい!)。料理オンチの私でも料理を する時がある。私の定番の料理と言えば、 冬は湯豆腐、夏は冷奴、これにアジの干物 を焼いて、インスタントの味噌汁とキュウ リの漬物があれば最高である。もっともこ れでは料理とは言えないけれどね。

最近我が家でよくいただく豆腐がある。 「風に吹かれて豆腐屋ジョニー」という、 形もサーフボードのような楕円形の容器に 入った、一風変わった商品名の豆腐であ る。北海道産丸大豆、沖縄のニガリを使っ たこだわりの豆腐で、茨城県猿島郡三和町 の豆腐屋さん、その名前も「男前豆腐店」 (三和豆友食品(株))が作っている。イ トーヨーカドーやジャスコなどで売られて いて、巷でも人気商品のようであるからご 存知の方も多いかもしれません。ホーム ページやブログでこの豆腐にはまった人た ちがいろいろ書いていて面白い。他社より も特徴を出して、いい原料を使いこだわれ ば、多少高くても売れるという見本のよう な商品である。

結論:子供の頃、近所の豆腐屋さんが、早 朝自転車に作りたての豆腐を載せて、豆腐 ラッパを吹いて売り歩いていた光景が懐か しい。いつまでも元気で長生きしたいなら 大豆食品、豆腐を大いにいただくことであ る。(2006・7・21)

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