アンドレの「デジタルつれづれ草」74段

“「互恵名水」を訪ねて”

互恵名水

「互恵名水」・・・それは甘くまろやかな水 だった!

みかん畑の広がる三ヶ日町・平山地区。三 ケ日みかんの中でも「平山のみかん」と言 えば最高品種である。私の義兄の実家が平 山のみかん農家なので、昔は収穫の時期に なると、よく手伝いに行って、帰りにクズ みかんをダンボール箱にいっぱいもらって 帰って来たものである。その平山地区の山 中に、知る人ぞ知る、知らない人は知らな い、湧き水「互恵名水」がある。石灰岩の 鍾乳洞より湧き出て、立谷川を下り猪鼻湖 へと注ぐ。水温は1年中16度。口当たり まろやかな清流の水を汲みに、遠方からも 人が訪れるという。

ある地元情報雑誌の記事で知って、いずれ 訪ねようと思っていたが、秋分の日の午 後、時間が空いたので行ってみた。平山と いっても湧き水の場所は地図には載ってい なかったので、地元のみかん農家のおじさ ん(私と年齢はほぼ同じかも?)に聞きな がら、目的地にたどり着いた。よく整備さ れて、真新しい立派な石碑も立っていた。

この湧き水は三ヶ日町の指定文化財「平山 凌苔庵遺跡(りょうたいあんいせき)」の 傍らにある。室町時代の高僧・悟渓宗頓禅 師(ごけいそうとんぜんし)が応仁の乱で 荒れた京都を避け、文明6年(1474 年)前後の数年間滞在した庵の跡である。 当時の名残を留めるのはわずかな石垣のみ で、近年整備された休憩所や立て札がその 場所を示す。

悟渓は、山岳宗教の起源とされる地底から の湧き水に強い関心を寄せ、そこに庵をむ すんだという。平成16年7月吉日、平山 凌苔庵遺跡保存会発足15周年記念供養際 の折、臨済宗方広寺派官長太井際断老師よ り、特別の注心あり「互恵名水」なる命名 を拝したものである。この湧き水は平山住 人先祖の昔から、いかなる日照りの時も枯 れることのない不思議な湧き水である。私 も一口含んでみたが誠にまろやかで甘い味 がした。

また、遺跡の周りには、その頃に京より持 ち込まれ根付いたと伝えられるシュウメイ ギクが自生し、毎年秋には斜面のそこかし こに可憐な赤紫色の花を咲かせるという。 人の手が加わらず野生化しているのは大変 珍しく、県内ではここだけだそうである。 確かに斜面一体にシュウメイギクの株がた くさん見られた。この日はまだ時期が早 かったせいか、残念ながら花はまだ咲いて いなかった。

近年は水に関心のある方が増えている。 スーパーの名水コーナーでは、たくさんの 名水、海洋深層水が人気である。水道の浄 化装置もよく売れているようだ。我が家に も水道の蛇口に某メーカーの浄化装置が取 り付けてある。飲み水は必ず浄化して使っ ている。最近の水道水は殺菌の塩素の濃度 が濃いのか、あまり美味しくない。料理に 使う水、お茶やコーヒーを入れる水はやは り浄化した方が美味しいようである。

おいしい水の条件にはミネラルが大事だと 言うことが分かっている。カルシューム、 ナトリューム、マグネシューム、・・・・ ・など、無機質・鉱物成分のことである。 それはどこにあるかというと、地下湧水な のです。今の雨水は昔と違って埃や様ざま なガスを含んで汚れているが、それでも地 下に染み込むうちに土壌の微生物によって 全部分解され、バクテリアもいなくなり、 有機物も全部分解されてしまう。土壌の中 にある炭酸ガスを含んだ水は、鉱物を溶か し岩石を溶かしてやがてミネラルを含んで 地下へ数年、数十年貯蔵されると、夏でも 冬でも15度Cのミネラル豊富な湧き水と なって地上に湧き出て来るのです。

ついでにお話しすると、健康に良いから と、朝一番の水道の水を飲む方がいます が、昔アメリカで朝一番の水を飲み続けて 水道管の鉛中毒になって、ご主人だけが亡 くなるという、ほんとうの話がありまし た、今ではそんなことはないにしても、朝 一番はどうしても水道管の汚れが出てしま うそうです。朝一番の水は顔を洗う、その 他雑用に使って、ある程度水道管の汚れを 流してから飲むほうが良いようですよ。(2005・10・8)

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