アンドレの「デジタルつれづれ草」62段

“久しぶりに出会った「旅籠 大橋屋」”

旅籠 大橋屋

三ケ日の本坂トンネルを抜けて、いわゆる 姫街道をひたすら西に走らせると豊川稲荷 の入口に至るが、豊川の街並みを更に西へ 進めると、やがてJR東海道本線をまたぐ 弧線橋を渡って国道1号線と交わる。交差 点を右に曲がれば岡崎方面、そのまま真っ 直ぐに進むと、自然と御油の町並みに入っ ていく。丁度自宅から1時間15分ほどの 距離である。御油・赤坂の町を訪れたの は、ほんとに久し振り3回目である。

5月8日の母の日。雲は少し多かったが、 汗ばむほどの良いお天気。私の母は40年 も前に55歳の若さで天国に行ってしまっ たので「親孝行したい時には親はなし」で ある。我が家のお母さん(家内のこと) は、この日、私に庭木の消毒の宿題を出し て、朝食後さっさとママさんバレーの試合 に行ってしまった。我が家では時々お母さ んから宿題が出るので閉口するが、庭木の 消毒をすぐに片付けて、先日金原明善翁生 家を訪ねて、ふと思い出した御油、赤坂宿 の「旅籠 大橋屋」はまだ健在だろうかと 確かめたくなって、10時半ごろ1人で車 を走らせた。

御油宿は、慶長6年(1601年)徳川家 康によって宿場の制が定められ、東海道五 十三次の35番目の宿場として栄えた宿場 町である。この御油宿の隣の赤坂宿との間 に慶長9年に整備された松並木があり、昭 和19年に国の天然記念物に指定され、 「日本銘松百選」にも選ばれた。御油、赤 坂宿はちょうど江戸と京都の中間にあた り、その昔は街道一の賑やかな宿場町とし て栄えたそうである。

御油、赤坂宿は旅行雑誌「旅」が選んだ 「歴史の街並み100選」にも選ばれてい る。「歴史の街並み」は「野の花」と並ん で私の大好きな写真のテーマである。北は 北海道の小樽から、南は沖縄の竹富島まで である。100選全部を訪ねるのは無理だ が、元気な内に出来るだけ多くの歴史の街 並み100選を訪ね歩こうと思っている。 今までに13箇所ほど訪ね歩いた。

さて、肝心の「旅籠 大橋屋」は赤坂宿で 無事に出会うことが出来て安心した。どこ の歴史の街並みも同じ悩みだが、ここの古 い街並みも僅かしか残っていない。正面は 古く見えても裏へ回ると近代的な建物に建 て替えられていたり、アルミサッシになっ ていたり、或いは全く新しくなっていたり でガッカリすることが多い。史跡保存とい う考え方からすれば、なるべく古い形のま ま残しておくのが良いに決まっている。し かし、殆どは実際に住民が住んでいる住宅 である。そして住民の殆どがサラリーマン である。

住人の立場からすれば古い家は誠に住み難 い。退職してお金が入ると早速家の改築に 取り掛かる。アルミサッシに変えて冷暖房 を完備して、台所も改修したい。いっその こと近代的な建物に立て替えたいと思うの も無理からぬことである。それを一概に非 難することは出来ない。

少しでも古い建物が残っている内に出来る だけ沢山の歴史の街並みを訪ね歩きたいも のである。「歴史の街並み」シリーズは私 のホームページに新しく掲載する予定であ るが、少し取材を重ねてからになるので多 少時間が掛かるかもしれない。(2005・5・22)

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