アンドレの「デジタルつれづれ草」58段

“今年の桜”

桜

若い時はそれほどでもなかったけれど、最 近は年齢と共に桜の花が大好きになりまし た。1年の間に僅か1週間、パッと咲いて、 パッと散っていく、一瞬の生きざまがとて も感動的で何ともいとおしくなるのです。 花はどんな花でも大好きな私ですが、樹木 の花の中では特に桜の花は格別な想いがあ るようです。

それにしても、今年の桜の花は待ち遠し かったと思いませんか。桜の花の開花が遅 くなるか早くなるかは、冬の低温と春先の 高温に左右されるそうです。桜は花の元に なる花芽を夏に作り、秋になると休眠に入 ります。花芽は冬の低温に一定期間さらさ れると休眠から目覚めます。その後花芽 は、気温が高くなるにつれて成長し開花し ます。冬が寒く、春先が暖かいほど、花芽 の成長が早く開花が早まります。

しかし、今年は冬が暖かく、3月に入って から思いのほか寒い日が続いて、全く逆の 条件になってしまいました。それで今年は 開花が1週間以上も遅くなってしまったの です。今年の細江町の姫様道中も、残念な がらつぼみの下での姫様道中になってしま いました。やっと4月6日頃から急に暖か くなって、一遍に咲き始めました。しかも 8日の日は風がとても強く、咲くかたわ ら、ハラハラと花びらが散っていました。

9日の土曜日は昨日とは打って変わって風 もなく、晴天に恵まれて桜も満開となっ て、絶好のお花見日和となりました。昼間 は相変わらず夫婦二人とも一日中スケ ジュールで忙しかったけれど、夕方からは 用事がなかったので、初めてフラワーパー クの夜桜見物に行ってきました。最高の人 出を予想して夕食もしないで5時過ぎに車 を駐車場に入れて正解でした。夜の園内は 大賑わいでした。7時半に帰る頃は、まだ 夜桜見物にやってくる車の渋滞が西イン ター付近まで続いていました。

さて、街中の桜が散った後も、まだ山の桜 が楽しめます。標高が高いほど桜の開花は 遅れます。桜前線が山を上る速さは、2〜3 日で100メートルぐらい、ふもとの桜が開 花して、1週間後に標高300メートル、2週 間後には標高500メートルあたりで咲き始 めます。私が良く野の花散策に訪れる南信 州地方では、今年は4月20日ごろが見頃で しょうか。山の斜面を彩るヤマザクラなど は、ソメイヨシノとはまた違った美しさが あります。

花の写真の大好きな私は、今年こそは素晴 しい桜の花を撮ろう、と春が近づくたびに 思っていますが、毎年咲く時期が違うこ と、満開の花の時期がせいぜい2〜3日と短 いこと、その時の天気の状況、そして自分 の体の都合の3拍子が揃うことは至難のわ ざです。また1年待たなければなりませ ん。今年もまた、近場の桜で満足するので しょうか。こうして、毎年春が過ぎていき ます。一生の内にあと何回桜の花を見るこ とが出来るのでしょうか。

見渡す限り一面の桜の花もいいですが、私 は大木の1本桜が大好きです。岐阜県根尾 村の「淡墨桜」、岐阜県宮村の「臥龍 桜」、長野県阿智村の「駒つなぎの桜」、 身延山久遠寺の「しだれ桜」、富士宮市の 「下馬桜」、まだまだ全国には樹齢何百年 という有名な巨木の一本桜が沢山ありま す。写真では良く見ますが一度満開の時期 にそんな桜の実物に是非お目に掛かりたい ものです。(2005・4・10)

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