アンドレの「デジタルつれづれ草」54段

“街の専門店がどんどん消えていく”

老舗
岐阜県岩村町で出会った老舗の酒屋さん

昔は酒は酒屋、魚は魚屋、野菜や果物は八 百屋へ買いに行ったものだ。今では郊外の 大型スーパーへ行けば、酒も魚も野菜も肉 も、洋服も文房具も日常必要なものは何で も揃ってしまう。便利と言えば便利であ る。

大型スーパーにお客を奪われた地元の商店 は商いが成り立たなくなったり、細々と営 業していた酒屋さんなども、ご主人の高齢 化により、後継者もなく、いつの間にか廃 業していたりして、地元の商店会の役員 が、「商店会の会員がどんどん減って、新 しく更新したばかりの街灯の電気代の支払 も大変になってきた」と嘆いていた。

お酒のことなら酒屋のご主人に聞けば、何 でも教えてくれたし、魚のことなら魚屋 に、野菜のことなら八百屋のご主人に聞け ば何でも教えてくれた。スーパーの店員に 専門的な質問をしても明快な回答は無理で ある。スーパーはただ商品を売るだけだ。

我が家では米だけは今でも地元の米専門店 で配達してもらっている。以前、国産米が 不作でスーパーの店頭から国産米が姿を消 して、外国米を買わざるを得なくなった時 も、馴染みの米専門店は優先的に国産の新 米を分けてくれた。スーパーの新米は殆ど がブレンド米だそうである。専門店は、純 粋な銘柄産地の新米を届けてくれるので安 心である。信頼できる専門店は、こうした ところが安心できて信頼できるのだ。

地元の専門店がなくなると困る事がある。 益々少子高齢化、核家族化がすすむ社会と なり、車の運転が出来ないお年寄りの世帯 では、郊外のスーパーまで買い物に行くこ とが出来ない。近くにスーパーもない、個 人商店もなくなってしまった地域では、日 常の食料品の買い物も出来なくて困ってし まう。

輪ッパのついた買い物籠を引っ張って、遠 くのスーパーまで買出しに行くお年寄りを よく見かける。うちの団地のような坂道の 多いところでは大変な重労働だ。昔の個人 商店は、昼間注文を取って、夕方自宅まで 届けてくれる御用聞きのサービスがあった が、今後、この「御用聞き」のサービスが 復活するかもしれない。いや、必要になる 筈である。(2005・2・19)

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