アンドレの「デジタルつれづれ草」43段

“梅干しのちから”

梅干し

「白地に赤く日の丸染めて・・・・・・ ・」は日本の日の丸の旗の事だが、これか らお話するのは、日本の国旗の話ではな い。 四角い弁当箱にぎっしり詰めた、真っ白い ご飯の真ん中に赤い大きな玉が一つ。単純 にして図柄も美しく、食欲をそそる“日の 丸弁当”。私のような戦中派の人間にとっ ては、何とも懐かしく郷愁を誘う食べ物で ある。

戦中戦後の粗衣粗食の時代、日本人はこの “日の丸弁当”をを食べて苦難と欠乏の時 代を耐え忍んで来た。この赤い玉こそ日本 人を太陽のように支えてきた食べ物といっ て良いでしょう。 小学校、中学校の遠足や運動会といえば、 母親が作ってくれたおにぎりの中に、必ず 梅干がが入っていた。私が子供の頃は、今 のように食べ物が豊富では無かったので、 梅干をおやつ代わりによく食べた。中にあ る硬い種を割って食べると、母親から「頭 が悪くなるからよしなさい」と、よく言わ れたものだ。今振り返ってみると、当時母 親の言う事を聞かずに梅干の硬い種を割っ て中の身を食べたのが原因かな、と思うふ しが無いでもないが。

梅は奈良時代に中国から渡って来た。当時 は薬木として扱われ、梅干は武士の戦場で の大切な兵糧として持ち歩き、家庭では保 存食として大切にされた。風邪をひいた時 は、漬け込んだ紫蘇の葉とともに湯に解い て飲み、食あたりには下痢止め、妊婦のツ ワリ、疲労回復にも薬効があり、夏負けの 防止にもしゃぶったり、こめかみに梅肉を 貼り付けて頭痛の特効薬にもした。

梅は中国から来たものであっても、紫蘇と 一緒に梅干を漬けるという発想は日本人が 考えたとか。そうすると、「梅干」は日本 で生まれ育った食べ物ということになる。 また、弁当やおむすびに入れたのは、梅肉 が防腐の働きを持っていることを体験的に 知っていたからである。正に梅干は日本人 にとって万能薬的な存在であった。 梅干に薬効があるのは、クエン酸やリンゴ 酸、フマール酸などが含まれているからで ある。これらの成分は現代医学によって も、疲労回復、整腸、食欲増進、殺菌作用 などに効果のあることが分かっていて、更 に梅の種に含まれる薬効成分には、鎮咳、 解熱、利尿、健胃、発汗、解毒、精神安定 などに効果があるとされている。

よく言われる「ウナギと梅干」の食い合わ せの話は超有名ですが、医学的根拠は全く ないそうです。江戸時代に、夏の土用の丑 の日に「うのつくものを食べると夏負けし ない」と言われて、平賀源内が土用の丑の 日にウナギを食べる習慣を始めたと言われ ている。同じ「う」のつく梅干も、夏バテ 防止食品としては持って来いである。(2004・11・7)

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