アンドレの「デジタルつれづれ草」38段

“権兵衛が種まきゃカラスがほじくる”

少し前、団地に“ワンワン”と啼くカラス が時々やってきて話題になったことがあ る。カラスは非常に頭が良くて賢く、物真 似も上手である。何か人の心底を見透かし ているようなところがあり、地球上で一番 危険な動物である人間の生活に依存して生 きているカラスとしては当然の事かもしれ ません。知れば知るほど奥が深く興味の尽 きない鳥である。 人がカラスを観察している以上に、カラス は神経を尖らせて人間を観察しているので ある。そうでなければ今日まで生き残って はいないでしょう。そんなカラスに「鳥」 より一画少ない「烏」という字を充てるの は、はなはだ不適当な気がする。

日本には「ハシブトカラス」と「ハシボソ カラス」の2種類がいる。名前の通りハシ ブトカラスは嘴が太く、「カア!カア!」 と啼く。ハシボソカラスは嘴が細く、「ガ ア!ガア!」と濁って啼く。ハシボソカラ スは餌を見つけた場所で食べる事が多く、 ハシブトカラスはたいてい樹上など高いと ころに運んでから食べる。ハシブトカラス は地上にいるのは不安のようで警戒心が強 い。 カラスは夫婦で仲良く行動する事が多い。 一羽がドバトの巣に近づき、親鳥の気を引 いて巣から離れたすきに、もう一羽が卵を 失敬する。そんなカラスの夫婦のコンビ ネーションぶりは日常よく見られる光景だ そうである。カラスの夫婦の仲の良さは知 る人ぞ知る、片方が亡くなるまで添い遂げ るそうである。近頃の人間社会のほうがカ ラスを見習わないといけません。

カラスは食べ物に限らずいろいろなものを 隠す習性がある。以前鉄道線路の上に敷石 が置かれた「列車妨害事件?」が発生し て、監視カメラにつかまった犯人はカラス だった、というニュースがありました。敷 石の隙間に隠して置いた食べ物を食べた 後、取り除いたその敷石を線路の上に置き 忘れたというものでした。 またカラスの記憶力は相当で、ある実験で は、隠しておいた場所は殆ど覚えていて、 しかも玉子焼きとかソーセージなど腐りや すいものから食べたという信じがたい記憶 力の実態が報告されている。大切なヘソク リの隠し場所を忘れて大掃除の時奥さんに 見つかって没収されてぼやいていた、どこ かのご主人とはエライ違いである。

「権兵衛が種まきゃカラスがほじくる」の 言葉に象徴されるように、農家の人が種を 蒔いた傍らカラスがほじくって食べてしま うほどずる賢いカラスの害鳥振りを端的に 表している。実際は蒔いた直後より発芽期 が良く狙われる。知能の高い鳥だけに行動 に遊び的要素が多く、果物を面白半分に落 としたり、片っ端から突付いて美味しいと ころだけ食べた後は放置する。雑食なので 兎に角何でもかんでもである。 カラスはよく群れたがる鳥で、夕方日没後 仕事場?から帰ってきたカラスは真っ直ぐ 巣に帰らずに近くの電線や民家の屋根に何 十羽と真っ黒になって集まっていることが 良く有ります。まるでヒッチコックの 「鳥」のようで気味が悪いほどです。無事 全員帰ってきたか、点呼でもしているので しょうか。

カラスの観察は興味深くて切りがありませ ん。カラスは人間以外にはこれといって天 敵が居ないような気がします。これかも ずっとカラスと人間の戦いは続きます。(2004・10・2)

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