アンドレの「デジタルつれづれ草」29段

“自分のことは自分でする、他人には頼らないツユクサ”

ツユクサ

私の大好きな夏の野の花に「ツユクサ」が ある。漢字で書くと「露草」。ブルーの花 びらもさることながら如何にも涼しげな名 前である。ツユクサは空き地や道端など、 どんなところでも見られるツユクサ科の1 年草の雑草。・・・・そうそう、雑草と言 う名の植物は無いから言ってはいけない と、いつかエッセイで書いたばかりでし た。 茎は地面に横に伸びて盛んに枝分かれして 増えていく。とても繁殖力旺盛で、お百姓 さんが草刈をしてほっておくと、いつの間 にか根を出して生き返る。花はブルーと黄 色と白で構成されていて、午前4時頃から 朝露に濡れて開き、お昼過ぎには閉じてし まう。余りにも短命なので「露草」なの か、朝露に濡れて咲くからか。

昔から余りにも身近に咲く、ありふれた花 なので、皆さんは意外とじっくり見たこと は無いのでないでしょうか。しかしよく顔 を近づけて見ると、とても可愛らしい美し い姿をしている。 ツユクサの古名は「ツキクサ(着草又は月 草)」。昔からツキクサの搾り汁は水にす ぐに溶ける性格から、友禅染の下絵を描く のに使われた。 “月草に衣は摺(す)らむ朝露に 濡れて の後(のち)は移ろひぬとも” 読み人知 らず(万葉集) 「朝露に濡れて」・・・・は恋人としっぽ り濡れてという意味でしょうか。それさえ 叶えば後はどうなっても後悔はしない。・ ・・・・月草で摺り染めした衣は色が移ろ いやすい。そのことに掛けて詠った、奥ゆ かしくも大らかで優雅な時代でした。

ツユクサはとても特異な花で、青い花びら や黄色い雄しべは美しいのに蜜腺を持たな いので虫を呼ばない。開花と同時に雄しべ が曲がって伸びだし、自分の花粉を雌しべ の頭に付け受粉する。他人には頼らない自 分のことは自分でする格好いい花である。 それでも、時々花粉を目当てにハナバチや ハナアブがやってくることはある。 最近うちのかみさんが「ご飯の支度や洗濯 など、自分のことは自分で出来るようにし ないと、私が居なくなったら困るわよ」・ ・・・と、まるで自分の方が先に逝くつも りで言います。「イザとなれば何とか自分 でやるからご心配なく」・・・といつも答 えています。統計学から言えば女性の方が 長生きする事になっていますが、こればか りは分かりません。

どうしても自分で食事の支度をしないとい けない時のメニューは決まっています。ご 飯を電気釜で炊くのだけは出来ます。おか ずは、夏は冷奴、冬は湯豆腐、それにアジ の干物を焼いて、後は漬物があれば栄養も 満点、一人でテレビを見ながらの夕食には これで十分です。最もこのメニューでは2 日間が限度です。 核家族の時代になった現代は、子どもに頼 らないで幾つになっても自分のことは自分 で出来るように努力しないといけません。(2004・7・31)

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