アンドレの「デジタルつれづれ草」28段

“めだかの学校”

♪めだかの学校は 川の中
 ♪そっとのぞいて見てごらん
 ♪そっとのぞいて見てごらん
 ♪みんなでお遊戯しているよ

この歌の誕生は、6歳の男の子の発想だっ た。 この歌の作詞者、茶木滋は小田原市の郊外 で、用水のあたりを当時6歳だった長男義 夫君と歩いていた。義夫君が小川のめだか を見つけて「ここはめだかの学校だ」と いった。その時茶木は、「子どもは面白い 発想をするな」と感じた。 それから数年後、昭和25年、茶木はNH Kから「春らしい歌を」という作詞依頼を 受けた。この時かつての親子の会話の中で 息子が言った「めだかの学校」を思い出 し、これをヒントに作詞した。

「めだか」は敏感で臆病な習性なので、も のに驚くと、サッと逃げる。だから「そっ とのぞいて」見なければならない。「めだ か」はいつでも群れている訳ではないが、 何かに驚くとサッと群れる。群れは決して 前の魚の真後ろには並ばない。一定の間隔 をおいて、前の魚の斜め右か、左に付く。 群れをなす「めだか」には必ず1尾リー ダーがいるが、何かの弾みで群れの向きが 変わると、別のリーダーが先頭になってい る。「誰が生徒か先生か」分からない。哺 乳類のボスとは違うようだ。こんな童謡の 歌詞でも、めだかの習性をよく観察して的 確に表現していることがわかる。

「めだか」は食用にもならないし、釣りの 相手にもならない、最近はペットブームで 観賞魚になっているけど、昔は余り鑑賞の 対象にはならなかった。しかし、遺伝学の 方面では貴重な対象のようである。「めだ か」はわが国にいる魚の中では一番小さ い。「めだか」は平野部にも山間の湖沼に も住むほど温度への適応力がある。台風な どの高潮の被害にあっても、他の淡水魚は 死んでも、塩分にも適応する「めだか」は 生きていた、という報告もある。 元来水質汚染に強いはずの「めだか」が絶 滅の危機にあるのは、自然界の水質汚染が 限界を超えてしまった人工的環境汚染が原 因である。誠に残念なことである。

ところで、「めだか」の方言は全国に 4,700余りもあるそうですが、なぜこんな にあるかと言うと、社会的には子どもの世 界の魚だから、子どもは名前を付ける天才 で、狭いエリアの中で通用するようにな る。永年の間に名前が変化しても、前の名 前がそのまま残るという具合である。こう して各地で山のように存在した「めだか」 を表す方言を「目高」という共通語に統一 したのは貝原益軒だった。 最近私は、日本の唱歌、童謡、わらべうた に興味を持つようになり勉強しているが、 結構おもしろく、奥の深いテーマである。 何の気なしに口ずさんでいた歌にも、こん な意味があったのか、こんなエピソードが あったのかと改めて感心しています。(2004・7・24)

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