アンドレの「デジタルつれづれ草」15段

“設楽町の石仏公苑とショウジョウバカマ”

石仏

私の「野の花」の取材のフィールド、奥三 河の中心地、設楽町田口、ここにある「奥 三河郷土館」の裏山に石仏公苑がありま す。馬頭観音など200数体の石仏が山の斜 面一帯に点在しています。この石仏の脇に 4月初旬になると「ショウジョウバカマ」 が咲き乱れます。ショウジョウバカマは奥 三河地方のいたるところで見られますが、 ここが一番群生して見られます。 「ショウジョウバカマ」はユリ科の多年 草、日向にも日陰にも生えますが、湿地を 好みます。漢字で書くと「猩猩袴」、花の 姿が猿に似た中国の架空の動物「猩猩 (しょうじょう)」の顔のように赤く、葉 が袴状に地から生えていることからこの名 前が付いたようです。 花の季節が始まると私の大好きな「野の 花」やその他の花にまつわる話が多くなる のは毎年の事ですが、今年も懲りずにお付 き合いください。

ショウジョウバカマ

寒い冬には温かい色の花、暑い夏には涼し い色の花。人間の為に咲くのではないので しょうが、実に様々な花が、心の襞に潤い を与えてくれます。三浦綾子さんは、「神 様は、ただ一種類しか作らなくたって私達 文句言えないのに、よくもまあこんなに色 とりどりに次々と素敵な形のものを作られ たと思います。」と、おっしゃっていまし た。 ほんとに自然って不思議です。花の形、 葉っぱの形、色、それぞれ個性豊かで、誰 の為に、何の為に、こんなに形や色を変え ているのでしょう。惰性に流されがちな 日々の繰り返しの中で、このような変化に 富んだ花を眺めていると、毎日が新しい感 動と驚きがあります。

花はどんなものでも受け入れてくれる、大 きな包容力を持っています。誕生日からお 葬式まで、私達の生涯の節目に必ず花が登 場します。花がどんな場面でも受け入れ、 主役を引き立ててくれる力を持っているか らでしょう。 2月初めに緊急入院した私の義兄(妻の 兄)の入院先の病院へ、実の妹である妻は 毎日のように新しい花を取替えたり、水を 替えたりしに、病院へ行きます。お陰で義 兄は、家族も覚悟を決めたほどだった入院 当初とは見違えるように元気になってきて います。これも花の力なのでしょうか。(2004・4・24)

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