アンドレの「デジタルつれづれ草」12段

桜が咲いて“春うらら”
負けても負けても走り続ける”ハルウララ”

やっと桜が咲いて、いよいよ待ちに待った “春うらら”の季節になりました。今年は 開花予想直前に冬に戻ってしまって、予想 よりも一週間ほど開花が遅れたようです。 今日はお天気も良くなって、佐鳴湖の桜も 一気に咲き揃って、お花見の市民で賑やか でした。 「うらら」は「うららか」に同じ、漢字で 書くと「麗らか」・・・@空が晴れて日影 が明るく穏やかな様、A心のさわやかな 様、B心の晴れ晴れしている様・・・・と 広辞苑には載っていました。・・・・間 違っても「山本リンダの歌の文句」・・・ ・とは書いてありませんでした。

“春うらら”と言えば、3月22日の高知 競馬場では、デビュー以来105戦連敗を 続けている8歳の牝馬“ハルウララ”が日 本一のスーパージョッキー武豊を騎手に迎 えて、106戦目のレースに挑みました。 あの天才武豊が騎乗しても、結果はご存知 のように11頭中10位の106連敗と、記録 を更新しました。馬主の安西美穂子さんも 「元気で走り続ける限り、初勝利を目指し たい。引退は全くの白紙」と、コメントし ています。 しかし、この日の馬券売上は全国で過去最 高の、4億5千9百万を軽く突破する、8億6 千9百万とか。馬券の売上もさることなが らハルウララの応援歌のCD,ぬいぐるみ を初めとした「ハルウララグッズ」が飛ぶ ように売れて、この日グッズを買い求める 人の列が400メートルも続いたとか。ハル ウララの単勝馬券は、当たらないというこ とから、交通安全のお守りとして大変な人 気で、やはり通常の400倍も売れたそうで す。

一方27連勝中の「キサスキサス」(名前の 記憶は不確かですが)という馬が居るそう ですが、こちらの人気が全く無いのは面白 い現象です。「負け続けても皆に愛される 馬と、勝ち続けているのに全く人気が出な い馬。・・・・あなたはどちらが好きです か?」・・・・・と、テレビのニュース番 組でキャスターが皮肉っていました。 そんな「ハルウララ」がどうしてこんなに 人気があるのでしょう。今の世相を反映し て、リストラや不況で、自分の夢がなかな か実現できなず、でもいつか自分にも春が 来る事をひたすら信じつつ頑張っている庶 民の気持ちがダブって居るのでしょう。 4月2日の夜のNHK「人間ドキュメント」 と言う番組でハルウララの特集が放映され ました。8歳のハルウララは人間で言えば 30歳過ぎ、競走馬ではそろそろ引退する年 齢、しかもこんなに勝てない馬はとっくに 処分される運命だとか。

しかし、調教師の宗石大さんは、ジョッ キーをやっていた頃のなかなか勝てなかっ た自分の現役時代に何か似ているハルウラ ラが可愛くて仕方が無いようです。天皇杯 を制したほどの名馬を父に持つハルウララ ですが、レースの前になると震えて冷や汗 をかくほどの気の小さいハルウララには期 待が大き過ぎるのかも。偉大な父親とその 子供の、こういう話は人間の世界にも良く ある話です。 レースを終ってからもファンサービスの為 にコースを一周した武豊騎手とハルウラ ラ、自分の娘のように可愛がる調教師、宗 石大さんの姿がとても印象的でした。 そんなひた向きな「ハルウララ」をつい応 援したくなる気持ちが良く分ります。きっ といつか「ハルウララ」にも桜の咲く日が 来ることを祈って止みません。(2004・4・3)

「デジタルつれづれ草」トップ