アンドレの「デジタルつれづれ草」11段

“今年も見事に咲いたハクモクレンの巨木”

ハクモクレン

ハクモクレンは、コブシとほぼ同じ頃、春 の彼岸の頃に、人家の庭や公園などで葉の 出る前の大きな枝先に、ふくよかな感じの 純白の花が青空に向かって堂々と咲く。コ ブシよりも花弁の幅が広く、より大輪で豊 かな感じで香りも素晴しい。 ハクモクレンの花は、花弁が9枚ある。正 確に言えば、外側の3枚は「がく片」で、 内側の6枚が花弁である。ハクモクレンの ように、がく片と花弁が同じような形や色 をしていて区別しにくいものは、「花被 (かひ)」と呼んでいる。 蕾は柔毛に包まれていて、暖かな毛皮に包 まれた感じ、正にミンクのコートを着てい るようだ。「蕾は北を向くか?南を向くか ?」と聞いてみると、殆どの方は「花は光 りの方を向くから、南の方」と答える。だ が、開花前のハクモクレンの蕾を良く見る と、全て面白いように北を向いている。日 光を受けて南側が先に膨らんで、その反動 で先端が北を向いてしまうのは当然と言え ば当然だ。蕾が大きいだけに、ハクモクレ ンはこの姿が顕著であるが、他の植物でも この特徴は見られる。これを「方向指植 物」(コンパスプラント)と呼ぶそうだ。

毎年訪れている志都呂町・T邸のハクモク レンの巨木が今年も見事に満開となりまし た。今年は例年よりも花数が多いように思 います。昨年はお宅を取り壊して建て替中 だったので撮影できませんでした。古い藁 葺き風の風情のあった古い家屋を取り壊し て立替中だったので、正直現代風のプレハ ブ住宅になってしまうのだろうかと、内心 心配していました。 しかし、今年再び訪れて安心しました。ご 主人のなんと心優しい心遣いでしょうか。 ハクモクレンの古木にマッチする、とても 古風な藁葺き風の屋根の木造住宅でした。

丁度ご主人が外に見えたので、いろいろお 話を伺う事ができました。 昨年は築100年の旧家屋を止む終えず壊 して立て替えることにしたこと。ご主人は コンクリート専門の建築家なので、本当 は、コンクリート作りの家なら、もっと予 算が安くできたけど、やはり周りの皆さん からハクモクレンの巨木にマッチした木造 の家屋にするように強い要望があった為、 予算が大分オーバーしてしまったこと。こ のハクモクレンの巨木は旧家屋と同じ樹齢 100年以上は経っていることなどいろい ろ話に花が咲きました。昨年は家を取り壊 したので風当たりが良く、花芽が落ちて花 が少なかったとか。その分今年の花数が多 いのかもしれません。 ご主人は私と同じ昭和17年生まれだとい うこと。建築家になる前は大手のコン ピューター製造会社で長年業務用コン ピューターの製造、修理をやっていたこ と。自分のホームページを持っているこ と。・・・・・など、話が弾んでし、お互 いにメル友になる約束をしてしまい、花の 取材が思わぬ友達の輪に発展してしまいま した。

今年は、皆さんがこのエッセイをご覧いた だいている頃は、残念ながらもう花も散っ てしまっているので、来年は是非訪れてみ てください。これだけ見事なハクモクレン の巨木は滅多に見られないと思いますよ。 ただし、静かな住宅地の個人のお宅で前の 道路も狭いので、くれぐれもご迷惑になら ないように。 ところで、今年の桜の開花予想は平年より 大分早く、浜松地方は23日頃だったが、開 花直前になって冬に戻ってしまった為、桜 のつぼみもビックリしてしまって足踏み状 態である。見頃は一週間ほど遅れて、来週 の土日頃でしょうか?。(2004・3・27)

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