シリーズ“趣味に生きる”

ヨーロッパ生まれの手工芸「デコパージュ」の魅力

デコパージュとはフランス語で、「切り抜く、切りさく」という意味の言葉。紙に描かれた模様や絵の切抜きを貼って物の表面を飾り、仕上げ剤を塗り重ねていく手工芸です。16,17世紀ごろ日本のうるし塗りの漆器に憧れたイタリアのベニスの家具職人が考案したと言われ、18世紀ごろフランスの上流階級で流行、やがてヨーロッパ中に広まり、19世紀にはアメリカに渡り誰でも手軽に楽しめるホビーとして大流行しました。日本では1970年代より流行し、現在では手工芸の一分野として不動の地位を占めています。

基本は語源の通り「切り抜く、貼る、仕上げ剤を塗り込む」ことですが、その応用範囲は広く、木、金属、陶器、プラスティック、皮、布、家具など、ありとあらゆる物に包装紙、写真、アートプリント、新聞紙等を貼り、上塗り液を塗り重ねて、デコレートするアートをデコパージュと言います。


本にする技法

木地出しの技法

アンダーグラスの技法

缶にする技法

写真をする技法

オーバーグラス技法

布にする技法

ルプゼの技法

陶器にする技法

大理石の技法

スリーディメンションの技法

ひび割れだし技法

スリーディメンションの技法

平成23年1月、中区佐鳴台2丁目の多賀淑江さんの自宅兼工房を訪問しました。多賀さんはデコパージュを始められてから既に30数年、日本のデコパージュの先駆者のお一人で、かつて協会の理事もされていたとお聞きしました。SBS学園をはじめ、複数の講座の講師をされるなど多忙な日々を割いて時間を作ってくださいました。

玄関のドアを開けるとすぐに横幅1m以上はあろうかと思われる大きなデコパージュの作品が目に飛び込んできました。すぐに3階の工房に案内されましたが、階段や通路、部屋の中のいたるところに作品がたくさん飾られていて、多賀さんのデコパージュ歴の長さを感じます。その他にも保管されている30数年間の作品の数は膨大で、探すだけでも大変なようです。その中の代表的な数点を写真に撮らせていただきこのページを飾らせていただきました。様々な手法のデコパージュの素晴らしい作品の数々をご覧ください。


☆デコパージュには3つの様式があります。

1、手書き版画法
もっとも古い技法で木版画、銅版画やエッチングによりハンドカラリングされたもの。
2、ビクトリア調
金箔、金線、金モール等のオーナメントを用いた華美なスタイルに仕上げていくもの。
3、モダン調
現代的な構成力を必要としモチーフはあらゆる物を使う。雑誌の切抜き、包装紙、カード、新聞、写真etc


☆デコパージュの技法は様々で紹介しきれないほどですが、主なものを列挙してみました。

技法名特    色
本にする技法本に手を加え、古びてゴージャスにデコレートする
木地だし技法木目を生かしてデコレートする
アンダーグラスの技法ガラス板の裏またはガラス器の底部にデコレートする
缶にする技法缶にデコレートする
写真をする技法写真を貼ってデコレートする
オーバーグラス技法ガラスの外側からデコレートする
布にする技法布にデコレートする
ルプゼの技法プリントの裏側に紙粘土などを入れ浮彫のように立体感を出す
陶器にする技法陶器にデコレートする
大理石にする技法大理石にデコレートする
スリーディメンションの技法何枚かの同柄プリントで立体感、遠近感のある絵を構成する。ペーパートール、シャドーボックス、エレベーションともいう
ひび割れだし技法人工的にひび割れさせてアンティークな感じをつける
背景をつける技法背景を自分で描いてデコレートする
オーバーグラスの技法ガラス板またはガラス器の外側にデコレートする
卵にする技法卵の中身を取り出し、その殻にデコレートする。殻をカットする技法、半割にする技法もある
皮にする技法本革またはビニールレザーなどにデコレートする
石にする技法石にデコレートする

※多賀さんの作品を拝見してもお分かりのように、デコパージュの素材は多種多彩、技法も様々で装飾的なもの、実用的なもの、そのどちらも兼ね備えているものなどです。したがって材料や用具、手順などはここでは紹介はとても難しいので省略させていただきます。

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