シリーズ“趣味に生きる”

七つの宝石の輝き・・・「七宝焼同好会」

七宝焼きとは、金属素地にガラス質の釉薬を塗って絵柄を描き、摂氏800度前後の高温で焼いて作り上げる工芸です。七宝という名前は仏典に出てくる七つの宝石の名前に由来していて、金、銀、瑠璃(るり)、瑪瑙(めのう)、蝦蛄(しゃこ)、まい塊(まいえ)、真珠の七つのこと。この七つの輝きを合わせ持ったほどの美しさがあるということで、室町時代にこの名前がついた。西洋ではエマイユ(フランス語)、エナメル(英語)と呼ばれている。七宝焼きの歴史は古く、紀元前4000年にはすでにガラスの発祥の地エジプトで七宝は作られており、ツタンカーメン王の黄金のマスクにもブルーのガラス釉がはめ込まれていた。また、ローマ帝国に支配される以前からヨーロッパに住んでいたケルト民族の武具や馬具の模様にも七宝が使われていた。その後七宝は西洋から隋・唐時代の中国に渡り、中国から朝鮮を経て奈良時代に仏教と共に日本へ伝わった。(「七宝の道具と材料:長谷川淑子著より)



「七宝焼同好会」は、七宝焼きの美しさに魅かれた女性たち数人で、佐鳴台公民館で10年以上も前に結成され、今なお活動を続けている息の長い熱心なグループです。 そんな七宝焼同好会の活動風景を取材しようと、2月の例会日に尋ねてみました。代表のTさんほか4名が出席されていましたが、お一人は用事で、直ぐに帰られました。

以前はもっと人気があって盛んだった七宝焼も、最近は健康指向のテーマに関心が移ってしまったのか、七宝焼きの人気はそれほどでもなくなってしまったと残念そう。七宝焼きのブローチは素材が金属とガラスなので重く、最近の洋服の生地は薄手が多いのでどうしても垂れ下がってしまうのが欠点で、これも不人気の原因かも、とおっしゃっていました。手で持ってみたが、確かに手ごたえのある重みを感じた。

素材を見せていただいたが、いろいろな型をした銅板ベースが数百円程度で入手できるそうで、比較的手軽に楽しめるそうだ。これに一般的にはいろいろな色のガラス素材の釉薬を塗って絵柄を描き、摂氏800度の電気炉で約2分前後焼くと釉薬が溶けて出来上がる。もっとも電気炉が少々高価で個人では買いづらく、温まるのに2時間ほど掛かるのが大変なようです。朝10時に来ても電気炉が使えるようになるのが12時頃になるので、みんなお弁当持参で4時頃まで頑張るそうです。

お話を伺いながら会員の方が製作されている過程を見ることができました。銅板の台の上に釉薬を塗り、その上にガラスの粒を置いて模様を描いていました。指先の細かい作業なので、年齢と共に大変な作業のようです。これを電気炉に入れて焼くのですが、予想とは違った仕上がりになったり、思いがけない素晴らしい色が出たりするところが楽しみでもあるようです。焼きあがった作品を見て、思っていたより白い色が大きく溶けてバランスが悪くなってしまった、と反省していました。

今まで制作した数々の作品を見せていただき、何点か写真に撮らせていただいたのでご鑑賞ください。なかなか美しいものです。装飾品としては素晴らしく、もっと皆さんに関心を持ってもらっても良いのではないでしょうか。家庭用の電気炉は容量が小さいので、大きなものは製作が難しいとのことですが、ブローチに限らず、箸置き、壁に飾る小さな絵、バッグにつける飾りなど、日常生活に使えるものが良いような気がします。固定観念にとらわれないで、いろいろな利用法を考えたらいかがでしょうか、と話が弾みました。(2008・2・25)


「七宝焼同好会」の活動は、原則毎月第1、第3月曜日(午前・午後)、佐鳴台公民館2階小会議室。


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