アンドレのフォト・エッセイ「青春日和」No.101

“断捨離を始めたが”

そろそろ人生の終点がトンネルの彼方にぼんやりだが見える年頃になって来た。そろそろ断捨離を始めようと思って、もう使わうことはないと思う衣類や書類、本などを少しづつ整理し始めている。先日小屋の中に10年以上眠ったままのゴルフクラブのフルセットがあるのを思い出した。ゴルフも若い時は夢中になった時もあったがお付き合い程度で、会員権を買ってまで熱くなることはなかった。定年後に運動のためゴルフの練習場に通うつもりでバックだけ新しく買い替えたが、余り熱心に練習場に通うこともなく、そのまま小屋の中にしまったままだった。もう後期高齢者になってからはゴルフをやることもないので処分することにした。整理ができればいいつもりでリサイクルショップに売りに行くことにした。リサイクルショップに中古品を売りに行くのは初めての経験でドキドキしながら受付に行った。「ここを利用するのは初めてなんですけど、ゴルフクラブのフルセットを売りたいので見ていただけますか?」とお願いしたら、受付の中年女性が「これにお名前とご住所、電話番号を書いて下さい」と紙を渡されて、記入すると番号札を渡されて「お呼びするまで少しお待ちください」と言われた。

店内の商品を見ながら待っていたら、ものの5分も経つか経たないうちに番号の呼び出しアナウンスがあり、「いくらで売れたかな?」と多少期待しながら受付へ行った。スポーツ担当の男性店員が待っていて、こう言った。「お客さん、申し訳ありませんが値段が付きませんのでお引き取り下さい」と言って、新しいメンバーズカードと共にゴルフバックを返された。つまりは「タダでも引き取れません」ということだ。もちろんかなり古いクラブだから高く売れないことは承知の上とはいえ、自分ではまだ見た目も綺麗だし、中古品として十分活躍できると思ったのに、世間では買い手が付かないほど旧式のクラブということだ。「タダでいいですから引き取ってくれませんか?」と言いたかったが、「処分代をいただいても手間がかかりますから」と言われそうで、そのまま帰って来た。「値段が付かない」と言われて、まるで後期高齢者になった自分が評価されたみたいでガッカリした。自分ではまだまだ元気に人の役に立てると思って頑張っているつもりなのだが。(2019・8・30)

「青春日和」トップ