アンドレのフォト・エッセイ「青春日和」No.98

“ついに白内障手術を受ける”

健康には少しばかり自信があった私だが、寄る年波には勝てなかった。遂に76歳にして白内障の手術を受けたのだ。4年ほど前にメガネ屋に指摘されて分かった白内障はその後何とかしのいできたが、ついに左目が完全にぼけて来て、次回の運転免許証の更新は無理だと悟った。というより、日常生活に支障が出てきたのだ。パソコンの画面もかすんできて、新聞などの細かい字が読みづらくなってきた。意を決して、いろいろな行事が一段落した5月中旬に行きつけの眼科医に手術医の紹介を依頼した。

早速紹介状を持ってK眼科医の診察を受けた。右目は眼鏡を掛ければ見えるので、とりあえず左目だけ手術をお願いしたが、精密検査の結果、左右とも白内障の進行度は同じで、しかも左は黄斑前膜の除去が必要との診断だった。ほとんどの方が1,2年以内にもう片方の手術を受けに来るという。それなら一緒に両目を手術したほうがベターですよ、と強く勧められた。両目のバランスの問題、費用の問題、他の健康に問題のない今のうちに済ませたほうが良いとのアドバイスだった。確かに考えればその通りだ。手術日程は右目を6月25日、左目を6月27日に決定した。2週間ほど前に手術前の精密検査、手順の説明があり、手術後の感染症の防止のため、目の中の雑菌除去のための目薬や飲み薬等が処方された。

25日の右目の手術当日は午後1時の受付。経験者の友だちに聞くと白内障の手術は簡単とは聞いているが、自分の体にメスを入れるのは初めての経験なので少しドキドキ。手術前の検査を済ませて、2時半ころ名前を呼ばれて手術室に入った。特に手術着に着替えることなく床屋で頭を洗ってもらうような形の椅子に斜め仰向けに座った。顔に右目の部分が空いた布のようなカバーを掛けられ手術が始まった。「真ん中の3つの灯りあたりを見ててくださいね」の指示で、ぼんやり見える灯りを見続けた。時々何度か水のようなもので目を洗われた。「今からレンズを入れますよ」「もう一度水で洗いますよ」と、その都度説明があった。部分麻酔は目薬で行われたのか、痛くも痒くもなく15分ほどで手術は終了、右目に眼帯をされて「はい終わりましたよ」と手を添えられて椅子を離れた。待合室で待っていたかみさんが「あれ、もう終わったの」と余りのあっけなさに驚いた。手術後の保護メガネをかけて会計を済ませ4時頃帰宅した。翌日は朝9時に診察して眼帯を取った。目の前の全てが鮮やかに見えた。

27日の左目の手術は黄斑前膜の除去があり、白内障だけとは違って、手術用の上掛けを着せられて、腕に点滴と血圧計、胸に心電図をつけての手術だった。目の奥の手術なので麻酔は直接目に注射をしたようで、少しチクリとした。点滴のせいか、少し眠くなってうつらうつらしている間に手術は終了した。手術そのものは30分程度で終了した。手術の椅子から立ち上がる時、眠りから覚めたように少しふらふらして看護師さんに手を添えられて手術室を出た。左目に眼帯をされて保護メガネをかけて帰宅した。翌日9時に診察して眼帯を取った。ぼやけていた左目も鮮やかに見えるようになった。特に左目は悪かったので、突然世の中が明るくなった感じだった。その後3日目、5日目、1週間目の診察があり、1週間が過ぎて保護メガネの着用も解除され、風呂に入ること、車の運転、お酒も飲めるようになり日常生活が戻った。手術後は感染症予防の目薬を3種類処方され、朝・昼・夕・寝る前の4回を3か月を目安に指示され、感染症予防の指示が厳しい。

今回、目の病気にもいろいろあることを学んだが、お蔭で一般的な加齢による白内障と、一部黄斑前膜除去の手術で無事快適な日常生活に戻ることができた。一番多いパソコンでの作業や新聞を読むなどは眼鏡なしで作業ができるようになり、遠視もなくなった。車の運転などは今まで通り近視のメガネが必要だが、これまでの生活環境と同じなので戸惑うことはない。気は若くても身体は年齢相応、これからも体の不調は早めに対応して健康な毎日をできるだけ長く続けていきたいものだ。(2018.7.3)

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