アンドレのフォト・エッセイ「青春日和」No.93

“第1回美食探訪倶楽部「旬」”

私が平成17年4月より協働センター(旧公民館)で主宰しているシニア対象のパソコン教室は、現在会員数は32名、そのうち女性は23名で72%は女性である。一番長いお付き合いの会員は9〜10年になる。私のパソコン教室には卒業制度がないので、本人が希望する限り永遠にお付き合いが続くのである。そんな平均年齢70歳を超えた女性の最近の楽しみは「パソコンの勉強というより、みんなと会っておしゃべりするのが楽しい」である。

パソコン教室も満10年を迎えたころより、シニアの皆さんはパソコンの勉強というより会員同士のコミュニケーションづくりが大切な役割だと思うようになった。もちろん今までも年度末にホテルなどで会員の親睦会を開催してきた。しかしもっと定期的に会員同士のコミュニケーション作りを計画しようと思うようになった。シニア層の楽しみは「美味しい料理をいただく」「温泉旅行をする」が常に一番人気だ。特に女性は「上げ膳据え膳で美味しい料理をいただく」が一番の楽しみなのだ。「一人ではちょっと行けない小洒落たお店で美味しい料理をいただきながら友達とおしゃべりをする」…そんな夢の実現をしてあげようと思いついたのが「美食探訪倶楽部」だった。「よし、これを実現しよう」と計画した。

形から入るのが私流だ。ネーミングは何にするか…「美味しい料理の店を探して訪ね食べ歩く」だから「美食探訪倶楽部」にしようと決めた。しかし、この名前は一般的だから既にネット上にいくつかあった。それではそれに加えて固有名称を料理にちなんで「旬」とした。「美食探訪倶楽部『旬』」の誕生である。そして、ある程度具体的な「約束事」として次にように決めた。@美味しい料理の店を探して訪ね食べ歩くことを目的とするA料理のジャンルは決めず、いろいろな料理を楽しむB目的地は日帰り圏内とし、途中の観光スポットも楽しむC料理の会費は原則¥3,000以内とし、その都度実費精算するD食事代とは別に運転手にガソリン代として、距離に応じ一人¥500以内を負担するE店の規模も様々な為、1回の参加人数は私のワンボックスカー定員の運転手を除く7人以内とするF希望者が多い場合は2回に分けて実施するG原則3か月に1回実施するH会員は口コミ等で評判の店を探索し、行ってみたい候補の店を提案するI会員資格は倶楽部の趣旨に賛同する方なら誰でも入会自由、年会費等はなし。…この計画を発表したらみんな大賛成してくれた。

思い立ったらすぐ実行、さっそく第1回「美食探訪倶楽部『旬』」がスタートした。梅雨のさ中の6月16日、参加者は女性5名と運転手の私の6名で小雨の降る中、近くのスーパーの駐車場で9時半に待ち合わせて出発した。食事に行くのが目的なので多少の雨も気にならない。ワゴン車の中は遠足気分で会話が弾み楽しそう。最初の目的地は、地元農家が運営する「豊岡とりたて元気村」での野菜の買い物だ。女性は道の駅などでの食材の買い物が大好きである。40分ほど買い物を楽しんで、ここから5分ほどの今日の食事処「花咲之庄」へ11時に到着した。ここは昔の庄屋さんの建物で入館料を払うと建物の中を見学できる。ご主人に案内してもらって30分ほど見学した。半分見学したところで食事をすることにした。みんな揃って「そばのみ御膳」¥1,380を注文した。今年は開花が早かったとのことで菖蒲の花は終わりだったが、白い清爽なハンゲショウが雨に濡れて美しかった。そんな緑の庭を眺めながら美味しいそばをいただいて、おしゃべりも弾んでのんびりと楽しい時間を過ごした。食事がすんだあと、残りの土産物コーナー、ギャラリー、お蔵の中を見学して午後2時半過ぎには帰って来た。帰りは買い物の野菜が重いので、一人ひとり自宅まで送ってあげた。

いつもは親の介護などで大変な日常をおくっている彼女たち、一人ではなかなかこんな時間が持てないと聞いている。だから朝早くは出発できないし、午後は4時までには帰らないといけない。…そんな彼女たちの事情を考慮して「美食探訪倶楽部『旬』」を計画した。人数の関係で女性優先としたのは申し訳ないが、パソコン教室では語れない本音の話が出たりして、私にとっても大いに有意義な企画だと思っている。死ぬまで介護にならない健康長寿を目標に、これからも私の「シニアの生きがいづくりのお手伝い」の挑戦は続く。(2016・6・16)

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