アンドレのフォト・エッセイ「青春日和」No.92

“雑草との闘いは続く”

誰でも若い時は小さいながらも庭付き一戸建てに住むのが夢だ。私もそんな夢を見て30年のローンを組んで我が家を建てて、憧れの20坪ほどの芝生の庭と15坪ほどの花壇を作った。「百日紅のピンクの花が咲く芝生の庭」という永年の夢が実現した。

夏の夕暮れに、伸びた芝生を芝刈り機で刈った後のさっぱりした庭と百日紅のピンクの花を眺めながらの風呂上がりのビールが旨かった。長いローンをやっと支払い終わったのは定年と同時だった。百日紅の木は大きくなって、夏になると相変わらずピンクの美くしい花を咲かせるが、あんなに綺麗だった芝生の庭は、今は雑草のほうが勢力を伸ばしている。仕方がないから雑草も一緒に刈り込んでいる。

芝生の庭以外にも花壇があり、家の周りにも雑草は生える。桜の花が終わる頃より庭中のあちこちで雑草が芽を出してくる。5月の連休が終わると毎日が雑草との闘いの始まりである。若い時はそれも余り苦にならなかったが、腰と膝が悪くなった最近では雑草との闘いは体に堪える。雑草取りの姿勢は腰と膝に一番悪い影響を与える。30分だけと時間を決めても1時間に、1時間と決めてもつい夢中になって、気が付いたら2時間もやっていたりする。背筋が伸びなくなった腰の痛みをこらえて「夢中になってやらなければよかった」と後悔しても後の祭りだが、いつもこの繰り返しである。しかし、庭がある以上雑草取りをやらない訳にはいかない。

友達に聞くとみんな同じ事で悩んでいる。時々家の周りを雑草が生えないようにコンクリートで固めてしまっている家もある。庭付き一戸建てを他人に貸して、自分は駅前のマンションに引っ越してしまった知人もいる。そこまではしたくないと思っているが、ほんとにできなくなったら考えるだろうな、と思う今日この頃である。(2016・5・20)

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