アンドレのフォト・エッセイ「青春日和」No.91

“「直虎」フィーバー”

2017年のNHK大河ドラマに「おんな城主直虎」が決まったことで、井伊家の菩提寺龍潭寺、地元引佐町をはじめゆかりの地浜松では行政と民間が一体となって、この千載一遇のチャンスを逃してはならぬと「直虎」ブームに燃えている。日銀静岡支店もさっそく「直虎」の経済効果を179億円と試算している。浜松市では官民連携で地域活性化につなげる「おんな城主直虎推進協議会」を立ち上げ、ロゴマークも決定した。

「井伊直虎ゆかりの地浜松」マスコットキャラクターデザイン大募集、浜松市博物館で限定200個で販売した「直虎花押入り遠州紬手提バッグ」が好評完売で、新年度も販売を予定している。地元の「花の舞酒造」では直虎の純米大吟醸を商品開発し販売すると発表した。国民宿舎「奥浜名湖」や浜北森林公園の「森の家」などのレストランでは特別にデザインした器に地元の食材を生かした「直虎御膳」なる新メニューを開発して観光客をもてなしている。5月3日〜5日の浜松まつりでは、井伊家の旗印「井」や直虎の名前、市章を描いた8帖の記念の大凧を上げて盛り上げた。

引佐町の妙雲寺では直虎の位牌が見つかったり、同町六所神社では直虎のいいなづけだった直親が寄贈したと伝えられる「青葉の笛」が一般公開されるなど、直虎にまつわる新発見がいろいろ出てきている。井伊直虎と同じ曽祖父を持つ徳川家康の長男松平信康のお墓がある天竜区の青龍寺の案内看板を青龍寺の前と二俣城址に設置し、若くして自害した悲劇の信康にも光をと、大河ドラマを機に足を伸ばしてもらえればと関係者は願う。

徳川四天王のひとり「井伊の赤鬼」の異名を轟かせ、関ケ原の戦いでは千峰をつとめた彦根藩35万石の藩祖「井伊直政」の名前は知っていたが、彼の幼少時代に井伊家は滅亡の危機に瀕し、そんな大ピンチの井伊家を守り抜き、直政へとバトンを渡した先代当主井伊直虎という「女城主」がいたことは知らなかった。この機会に私も井伊家の菩提寺龍潭寺に何回も足を運んだり、「井伊家のひみつ」という小冊子を買ったりしてにわか勉強をしている。浜松駅前や周辺の商店街などでは直虎関連の看板や垂れ幕などがあちらこちらで見られるようになった。このブームが一過性に終わらず、長く観光客誘致につながることを期待したい。(2016・5・8)

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