アンドレのフォト・エッセイ「青春日和」No.75

“デンデンムシはどこへ行った?”

気象庁に寄れば、東海地方も6月8日に平年並みに梅雨入りしたと発表があった。9日は午前中雨が残ったが、10日は朝から良い天気で暑くなった。フラワーパークの招待券をいただいてあったので、アジサイと菖蒲の花が見ごろの季節なのでかみさんと行ってみた。フラワーパークには申し訳ないが、招待券をいただいた時だけ行くことにしている。おにぎりとお茶を持って9時半前には着いてしまった。まだ駐車場もいっぱい空いている。一通り温室内とバラ園を見てから、アジサイの花と菖蒲の花を見に行った。アジサイの花は園内に点在しているので観光客はまばらだったが、さすがに菖蒲園は季節のメインとあって賑わっていた。一眼レフのデジカメを構えて盛んにシャッターを押している熟年が目立つ。最近は熟年女性のアマチュアカメラマンも目立つ。これはこれで大いに結構なことである。ピーカンの日の菖蒲の花はコントラストが付き過ぎてアップの写真には不向きなので、私はシャッターを押す気になれず、全体の雰囲気だけを撮って見るだけにした。むしろ菖蒲もアジサイも雨の日の方が風情がある。

今日は日曜日だから子ども連れの若い家族もたくさん見えるのかと思ったが、相変わらず年金世代の熟年夫婦が目立つ。もっとも私もその中の一人である。若い人たちは大型ショッピングセンターへでも行ってしまうのだろうか。駐車場は無料で店舗内はエアコンで涼しくて一日中快適である。菖蒲の花も一通りのんびりと鑑賞して木陰のベンチでしばらく休んでいたが、そんなに広くはない園内は一周してもまだ10時半だった。おにぎりを食べるのには余りにも早すぎた。少し時間稼ぎに噴水の周りの日陰のベンチに場所を移して時計を見てもまだ10時45分。時間つぶしも限界となって面倒なのでおにぎりを食べることにした。余りパッとしない噴水のショーを見ながら食べ終わってもまだ11時前だった。売店で花の苗を2つ買ってフラワーパークを出て、帰りにスーパーで買い物をして家に1時過ぎには帰ってきた。わが家からあまり近すぎて行楽気分にはなれなかった。

ところで昔はアジサイの花が咲く梅雨の頃には、デンデンムシが必ずいたものだ。それがいつの頃からか全く姿を見なくなってしまった。フラワーパークのアジサイもそのつもりでよく探したが、やはりデンデンムシはいなかった。わが家にも今、何本かのアジサイの花が咲いているが、ナメクジはたくさんいるのにやはりデンデンムシは見かけない。農薬や殺虫剤を使うようになってからだろうか。カエルやホタルやメダカなどと同じように、当たり前にいたものがいなくなるのは寂しいものだ。(2012・6・10)

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