アンドレのフォト・エッセイ「青春日和」No.72

“大寒波襲来”

前夜の天気予報で、明日はこの冬最強のマイナス42度の猛烈な寒波が南下してくると言っていたが、2月2日の朝、目を覚ましてみたらやはり外は雪景色であった。日本列島の9割の地域で朝の気温がマイナスを記録した。空はどんより雪雲に覆われている。この日は浜松地方では珍しく昼間もけっこう雪が舞った。北部の山沿いではもっと降ったらしく、アルバイト先の女性職員が「車の運転が怖くてバスで来た」と、遅れて出勤してきた。街では屋根に雪を乗せた車が多く走っていた。日中でも3度くらいしか気温が上がらなかった。

テレビや新聞によると、平成18年の記録的な豪雪に迫る勢いだという。青森県で4m超、山形、新潟も3mを超え、日本海側は猛烈な積雪量になっている。テレビのニュースである地域の住民は平成18年より雪の量が多いと言っていた。平成18年の豪雪時には、152人が亡くなって、そのうち75%が除雪中に屋根から転落して亡くなったという、その65%が高齢者だ。今回も既に全国で56人が亡くなっている。屋根に積もった雪を朝降ろしても、夕方にはまた積もって雪を降ろし、翌朝はまた同じ状態が続く。古い家では雪の重みで建物が押しつぶされる被害も出ている。ほとんどが高齢者世帯で雪下ろしは相当な負担である。自治体も除雪予算が底をつく始末で国に援助を求めている。

昨年の東日本大震災をはじめ、台風による豪雨、夏の猛暑、冬の大寒波による豪雪など、最近は自然災害の規模が半端では無くなっている気がする。人間に過酷な試練を課しているかのようだ。「自然を甘く見るなよ、神の領域に足を踏み入れるなよ」と言われているようだ。原発などと言う、人間の科学の力ではコントロールできないものに足を踏み入れてしまった戒めのような気がする。東日本の被災地では雪の少ない海沿いから雪の多い山間部の仮設住宅に移転したため、傾斜のない屋根の雪下ろしと防寒対策に苦労されている。秋田県の玉川温泉では雪崩が発生して宿泊客が死亡したり、青森県の下北半島では大雪により数百台規模の車が立ち往生になったという。テレビで屋根よりも高く積もった雪の壁を見ていると、ほとんど雪の降らない地方に住む我々が申し訳ない気がしてくる。

今日はもう暦の上では春の「立春」である。一昨日よりは暖かくなったが、8日から再び寒気が入り寒くなるという。気象協会は桜の開花が当初予想より遅くなりそうだと発表した。雪国では今年ほど春が待ち遠しい冬はないのではないだろうか。まだまだ大雪が続きそうだというのに、今年の冬は更にインフルエンザが猛威を振るっている。ほんとうに早く春が来てほしいものだ。(2012・2・4)

「青春日和」トップ