アンドレのフォト・エッセイ「青春日和」No.68

“「家族が集う」というしあわせ”

ご多分に漏れず、わが家も典型的な核家族である。子ども3人はみんなそれぞれ独立して東京で暮らしている。全員集合するのは正月と夏休みだけである。今年の夏も3家族9人が集合して、玄関は大小の履物で賑やかになった。お蔭で孫は10歳から2歳まで4人になった。「来てうれしい、帰ってまたうれしい」などと、孫の世話の大変さを実感するのも確かだが、精神的なしあわせは何事にも代えがたい。

子どもや孫にとって、帰ってくるふる里があることはしあわせである。東日本では今回の大震災で、おじいちゃんをおばあちゃんを、親を子どもを、孫を兄弟を、妻を夫を家もろとも一瞬にして失った人が大勢いる。福島の原発で故郷を追われて帰れない人が大勢いる。家族がバラバラになり、親戚も友達も別れ別れとなって住む家もなく、仕事をしたくても働くところもなく、将来に希望が見えない人が大勢いる。

人間、ぜいたくを言ったらキリがないが、「家族が賑やかに集う」などは「しあわせ」の極みではないだろうか。孫たちももう少し大きくなると、部活や受験など、それぞれの事情ができて、やがて全員が一緒に集うのはもう何年もないかもしれない。同じ状態がいつまでも続くわけではないのだ。「今のしあわせ」を大切にしたと思う。(2011・8・25)

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