アンドレのフォト・エッセイ「青春日和」No.64

“友チョコ・女子会”

2月14日は言わずと知れたバレンタインデー、「女性が男性に親愛の情をこめてチョコレートを贈る日」とされている。もちろんこれは日本独自の習慣で、欧米では男性も女性も花やケーキ、カードなどの贈り物を恋人や親しい人に贈る日だという。バレンタインデーの元々の由来はローマ帝国時代に遡るらしいが、良くわからない難しい話はここではやめよう。

バレンタインデーにチョコレートを贈ろう、などという習慣は、節分の恵方巻きを食べる習慣と同じで、所詮チョコレート会社の販売促進の宣伝に国民がまんまと乗せられて流行したものである。男性からお返しをするホワイトデーも日本だけの習慣で、こちらもお菓子メーカーの宣伝である。この時期のチョコレートの消費量は年間の2割にもなるという。

1975年ころから国民的行事となって職場ぐるみで「義理チョコ」なるものが流行したが、悪しき習慣との意識が浸透してか、これも今ではあまり流行らないようだ。次に2000年以降からは男性から女性に贈る「逆チョコ」や日頃お世話になっている人への「感謝チョコ」、自らのために買い求める「自分チョコ」など多様化し、最近流行しているのが「友チョコ」だそうである。女性同士でやったりもらったりするのだそうだ。これも義理チョコが減って売り上げが伸びなくなったチョコレート会社のキャッチフレーズに乗せられた感じもしないではない。デパートやスーパーのバレンタインデー・コーナーでは、売り上げを伸ばそうと様々に工夫を凝らしてチョコレートの販売促進に懸命である。

「友チョコ」が流行する背景には、女性同士で食事会や飲み会をする「女子会」なるものが最近流行しているのと共通している。男性や上司にあまり気を使いたくない、女性同士のほうが気兼ねなく付き合えるという意識が背景にあるようだ。女性同士は何かと結束が強く、逆に余り女性に構ってもらえない独身男性が多くなった。最近全国的に婚活ブームだが、結婚を希望する高年齢の独身男性が多いのに比べて、男性の世話をしたがらない自活した独身女性が増えてきたような気がするがどうだろうか。

そういう私も、もちろん本命チョコではないが、いまだに女性からバレンタインデーにチョコレートをいただいたりする幸せ者である。日常の潤いとして年に一度くらいささやかなプレゼントを贈ったりいただくのも良いではないかと思う。(2011・2・12)

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