アンドレのフォト・エッセイ「青春日和」No.54

“防犯カメラ氾濫時代”


横浜で見かけた防犯カメラ

東京千代田区の秋葉原で2008年6月に7人が死亡10人が負傷した無差別殺傷事件を受けて、地元神田末広町会が防犯カメラ16台を設置し、1月26日から運用を開始したとの報道があった。設置費用は1千万円、東京都と千代田区が3分の2、地元町会が3分の1と維持費を負担するという。地元には古くからの住民も多く、幼稚園も小学校もある。「カメラを付けることによって、子どもの安心安全を守り、買い物客が安心して来ることができれば」という。最近の、何の罪もない市民が突然殺されるという事件が起こるたびに、日本の安全神話もとうとう崩れてしまったかと思う。

この報道と前後して、私のところに突然取引のある銀行から電話があった。銀行から電話をもらう予定もなかったので何の用かと思ったら、こんな内容だった。
「11月○日に銀行のATMコーナーで2万円お引出しになっていますが、その内の千円札1枚を取り忘れていました。防犯カメラにその時間帯に間違いなくお客様ご本人が写っていましたので、口座に入金しておきます」との内容だった。
通帳を確認したら間違いなく2万円引き出していた。多分千円札が必要だったので2万円のうち千円札10枚を指定したのだろう。機械は正確なので確かめずに財布に入れてしまったようだ。確かめなかった私がいけなかった。防犯カメラに私が写っていなかったら、銀行も本人かどうか確認できなくて困ったに違いない。警察からの電話でなくて良かった。これも防犯カメラのお蔭である。

最近は至る処に防犯カメラが設置されている。公共の建物の出入り口はほとんどといっていいだろう。会社の建物の内外、商店街や店舗内、病院、鉄道の駅、高速道路などなど、ありとあらゆるところ設置されている。単にライブ画像を見るだけから、録画するタイプまで様々である。以前、中央自動車道道で100キロをオーバーして快速に飛ばしていた友人が、カメラに証拠写真を撮られて、反則金を数万円も取られてしまったということがあった。裏を返さばいつでもどこでも自分の姿が撮られているということである。プライバシーの侵害だという人もいるが、今の世の中ではこれも仕方のないことである。

防犯カメラ、監視カメラの活用は身近では家庭内の玄関の来客の確認、空き巣から家を守る、壁や塀のイタズラ防止などの、いわゆる防犯用から、外出先で家の中のペットの様子を携帯電話で確認することも可能だという。マイクを内蔵したカメラをセットすれば声も聞くことができる。ペットも家族と同じとあれば外出中の心配もこれで安心できるというわけである。

核家族化の世の中、遠くの田舎で暮らす年老いた父親、母親の安否を、都会で暮らす子どもが毎日パソコン画面で見守ることだってできる。私もそのうち自宅に監視カメラが設置されて、息子や娘にパソコンで監視される日が来るかもしれない。そうなったら、毎日カメラの前でピースサインを送って「まだ大丈夫だーい!」と言ってやろうと思っている。(2010・2・6)

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