アンドレのフォト・エッセイ「青春日和」No.49

“実りの秋がやってきた”

どんぐり

実りの秋がやってきました。今年もあと3カ月で終わり、まさに「光陰矢のごとし」です。田んぼの稲も黄金色に色づいて、既に稲刈りが盛んに行われています。スーパーの果物売り場も、柿、梨、林檎、葡萄、栗など、秋の味覚でいっぱいです。我が家の庭の柿の実も色づいて、朝のデザートにいただいています。親戚や知人からも果物が届きます。市内の有名な和菓子屋さんの栗むし羊羹もいただきました。2人ではとても食べ切れないので近所におすそ分けしたりしています。

日中はまだまだ暑いものの朝夕は涼しくなって過ごし易くなりました。いつもの年より涼しくなるのが早かったような気がします。きっと今年の紅葉は早いかもしれません。このあいだ車で走っていて見かけた10月桜の花を写真に撮ろうと再び出かけたら、昨日の雨ですっかり散ってしまっていてガッカリ、10月桜が9月に咲いてしまいました。最近、地球温暖化の影響か、気候が昔に比べて少しずつ変わってきている感じがします。今年の7月は雨ばかりで日照不足、逆に8月はほとんど雨が降らなかったので野菜や果物の成長に影響が出ました。でも、彼岸花は秋の中日に合わせてちゃんと咲いてくれました。自然の不思議に感心します。

10月桜の花が散ってしまっていたので水車の里の公園に久しぶりに行ってみました。どんぐりの実がたくさん成っていました。どんぐりの実は、どんぐりという木に成るのではなく、ブナ科のクヌギ・カシ・ナラ・カシワなどの果実の総称です。私もこれを知ったのはいい大人になってからです。いづれの樹のどんぐりも、大きい小さいはあるけれど、その姿や形はほとんど同じなので、ものの優劣を比較するときなどに「どんぐりの背比べ」などと表現したりするのは皆さんご存じのとおり。どんぐりは子供たちにも人気で、孫を公園に連れていくと楽しそうに一生懸命どんぐりを拾います。でも、拾ったどんぐりはその後どうするわけでもなく、箱に入れて家の中にほって置かれるだけですけれどね。

このところ、毎年クマが人里に現れて村人が襲われる被害が報道されます。ついこの間も乗鞍岳で観光客が襲われました。どんぐりはデンプンを豊富に蓄えているので、クマをはじめリスなどの哺乳類の貴重な食料源になっているのです。秋には冬眠に備えて大量に食料を必要とします。最近は天候不順で、これら落葉樹のどんぐりが不作だったり、森林を無計画に伐採してどんぐりの実が不足しているといわれます。人間だけが地球上に生き続けられるわけではありません。クマだって生きていく権利があります。なんとか人間と共存共栄が出来る方法を考えてあげないといけません。

「実りの秋」といえば、いつの間にか自分も「人生の実りの秋」の年代に来てしまいました。果たしてどんぐりの実のように、「子孫繁栄の為の実」、「ひとの為になる実」が残せるのでしょうか。おかげで3人の子供を世間並みに育て上げ、孫も現在4人恵まれて、「子孫繁栄の実」は結ぶことが出来たと自己評価しましょう。もうひとつの「人の為になる実」が結べたかどうかは自己評価が難しい。きっとあの世に行ってから誰かが評価してくれるのでしょう。(2009・10・2)

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