アンドレのフォト・エッセイ「青春日和」No.46

“世界遺産「五箇山合掌集落」”

五箇山合掌集落

新緑の5月22・23日、富山県の世界遺産「五箇山合掌集落」を訪ねてみた。いつかは行ってみたい憧れの地であったが、日本海に近いこんな遠くまで、いくつもの高い山々を超えてくるのは、かつては簡単ではなかった。それが東海北陸自動車道が全面開通して、いとも簡単に行くことができるようになったのだ。おりしも政府の経済活性化対策とかで、4月より高速道路が休日どこまで行っても1回千円ということになった。これに便乗しない手はないと計画したのだ。

ところが、1回千円はETC搭載車限定という、現金ではだめなのだ。私の車にはまだ付けてなかった。そのETCの機械購入代金も3月末までなら5千円の補助が受けられるというので、カー用品量販店などに客が殺到、すぐに品切れになってしまった。政府のやり方には納得いかないことばかりだが、文句を言っているばかりでは事が進まない。まだ4月初めだから旅行の日までは1ヶ月以上余裕がある。馴染みのディーラーの担当者に相談してETCを注文して、商品が入荷したら付けてもらうことにした。5千円の割引もその分値引きして置くから大丈夫ですよとの返事だった。

5月連休が明けてもディーラーから電話がない。まだETCは入荷しないのか、間に合わなければ諦めるか、と思っていたら「商品が入荷したから取り付けます」と電話が来た。取り付けたのは旅行直前の5月19日だった。やっと機械が取り付けられたと思ったら、うっかりまだETCカードを用意していなかった。間に合わなければ娘に電話してカードを借りようかと思ったが、慌ててクレジットカードを取り扱っている家電量販店に出向いて即日発効してもらってギリギリ間にあった。

5月22日旅行当日がやってきた。予定通り7時30分に自宅を出発、果たしてインターチェンジのゲートは開くのか?初めてETC 専用ゲートに入る。時速20kmで進入、見事ゲートが開き「バイザイ!」、何事も初体験はワクワクするものだ。今日は金曜日とあってそれほど高速道路は混んでいなかった。一宮JCから初めて東海北陸自動車を走る。東名、名神高速や中央自動車道に比べて車の数は少なく快適だ。途中から1車線になっていた。上下対面通行のところもある。しかし高い山々を切り開いて作った道路だけあってトンネルの数は数が分からなくなるほど多かった。最長は全長9kmと11kmというトンネルがあった。開通までに年月が掛かったのもうなずける。予定通り11時過ぎには五箇山ICを降りた。料金は残念ながら今日は金曜日なので6千100円だった。だが現金を支払わなくて済むので楽ちんだ。

最初の「菅沼合掌集落」は五箇山ICを降りて直ぐに着いてしまった。山の上から見下ろす合掌集落の風景は素晴らしい。早速お目当ての「与八」で昼食をとることにした。平日とあって駐車場も空いていた。「五箇山豆腐天ぷら定食」が美味しかった。昼食後集落をゆっくり一周した。小さな集落なのでゆっくり見て回っても1時間ほどで終わってしまった。明朝行く予定だったもう一つの「相倉合掌集落」も行くことにした。ここから20分ほどで着いた。こちらは少し大きな集落だ。観光客も多かった。途中あんみつをいただいてゆっくり散策した。駐車場の裏手に、「絶景のポイントまで徒歩5分」と書かれた看板が目に入った。5分なら行ってみるかと山を登った。確かに5分で山の中腹に到着した。看板通りの合掌集落を見下ろす絶景のポイントだった。

4時頃、今日のお宿「国民宿舎五箇山荘」に到着、今年4月にリニューアルオープンしたばかりの綺麗な宿舎で、値段の割に料理もまずまずの満足の宿だった。翌朝、宿舎のすぐ目の前に見える「国指定重要文化財合掌造り村上家」を見学した。囲炉裏の焚かれた薄暗い広間で語り部の話をゆっくり聞くことができた。2日目は相倉合掌集落を昨日見てしまったので、予定を変更して「木彫りの里 井波」に寄ることにした。数百万円の欄間、衝立、仏像など、見事な木彫りの作品に感心してしまった。工房では彫刻師の作業が見学できた。かみさんは3千円のネックレスを買ってご機嫌である。

最後の目的地、城端(じょうはな)に到着。ここは善徳寺の門前町で落ち着いた感じの田舎街だ。「旬の味 まねき」で昼食に湯葉料理をいただいた。ここは築100年以上の建物を利用した料理屋で、上品な味で美味しかった。昼食後、城端曳山会館で曳山(祭りの屋台)を見学したが、その立派な作りには圧倒される。祭りは毎年5月の4、5日に行われるそうだが、案内係の話を聞いていたら是非一度は見物したいものだと思った。もちろんすぐ近くの善徳寺にも足を運んだ。古めかしいなかなか立派なお寺だった。帰りは3時頃福光ICから高速道路に乗った。土曜日とあって、さすがに高速道路が混んでいた。途中の関パーキングエリアでは駐車場を並んで待つほどだった。途中上郷サービスエリアで夕食とった。ここはそれほど混んではいなかった。それ以外は渋滞もなく順調に浜松西ICまで来た。はたして料金は間違いなく千円であった。自宅到着8時15分、総行程645kmだった。(2009・5・26)

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