アンドレのフォト・エッセイ「令和つれづれ草」No.115

「雅楽器の話」

雅楽器

8月19日に私の所属する熟年団体の20周年記念公演会が市内の料理屋さんの会場で開催された。幹事の計らいで計画された公演は、あるアマチュア雅楽演奏団体による雅楽の演奏会だった。庶民が普段気軽には聞けない千年を超えるみやびな貴族の音楽を、しかも、目の前でかぶりつきで聴いてしまった。けっこう迫力ある音色で感動した。雅楽の歴史や雅楽器の詳しい説明も聞けて、音楽好きの私にとっては大変貴重な体験をさせていただいた。

たまたま、私は7月の中旬に彦根城を訪れていた。徳川家康の家臣井伊家が代々藩主を務めていた彦根城は世界遺産に登録を目指してる国宝の城だ。城も立派だったが、その12代藩主井伊直亮(なおあき)は雅楽に興味を持ったことから日本屈指の雅楽器の収集家として知られている。・・・というのは彦根城を訪れて初めて知った。

ちょうど彦根城に隣接する彦根城博物館で「井伊直亮の雅楽器収集〜一大コレクションの現場〜」と題したテーマ展が開催されていて、雅楽器のコレクションを鑑賞することができた。楽器もさることながら、楽器を収める袋や箱などの工芸品など日本でも有数の質と量を備えている。その数は260余点、関連資料や楽譜などを含めると600点の多数に上り、直亮自身が記した目録には購入先の楽器商の名前や、やり取りした書状、値段交渉の経緯や購入時の値段も記録されていて、その大半が現存されているという。笙2管800両を値切って520両で購入したとの記述もあり、今の金額にしていくらなのか分からないが、とても興味深く拝見した。

雅楽の演奏をされた演奏者に演奏後にこの話をしたら、「井伊直亮の雅楽器コレクションの話しは初めて聞きました」と言われた。今回は偶然も重なり、今まで縁の遠かった雅楽の世界を知るよい機会を得て勉強になった。(2023.9.3)

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