アンドレのフォト・エッセイ「令和つれづれ草」No.114

「トノサマバッタ」

トノサマバッタ

庭の草取りをしていたらバッタが飛び出してきた。よく見たらトノサマバッタの仲間のようだ。近ごろ昆虫を見かけるのが少なくなったが、まだうちの庭で昆虫を見られるのが嬉しい。バッタの中でもひときわ大きな種類なので「殿様」の名前がついている。

子どもの頃は近くの野原に遊びに行っては網でよく捕まえたものだ。後ろ脚のジャンプ力が強力で自分の体の20倍もの距離を軽く飛び、飛翔力もスーパーマン並みで50m以上も飛んでしまう。バッタの中でも大きく重量感のある体は迫力があり、クリッとした複眼に愛嬌のある顔は仮面ライダーのモチーフになったとも言われるゆえんだ。

バッタは生まれた時の周りの環境で体の形態や色が変わる。さらに生まれた環境の中でも面積当たりの個体数が多い少ないでも体の色が変わるという。個体密度が低いと緑色になり、個体密度が高いと茶褐色になる。アフリカ大陸で空が曇るほどのバッタの大群が発生する写真を見るが、この時のバッタの色はみな茶褐色だ。

さらに、緑の草が多いと緑色になり、茶色い場所であれば茶色になる。周囲の環境に溶け込みながら天敵から身を守るためだ。またバッタにも耳があるのはご存知か。個体間のコミュニケーションや外敵の存在を感知するために耳がちゃんとある。トノサマバッタの体の特徴に耳の位置が頭ではなく、後ろ脚の付け根の腹部にあるのは哺乳類の我々からすると驚きだ。神様がバッタを設計する時にここしか耳を付ける場所がなかったのだろうか。いろいろ調べると知らないことがたくさんあって興味深い。(2023.8.20)

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