アンドレのフォト・エッセイ「令和つれづれ草」No.112

「セミの初鳴き」

セミ

毎年セミの初鳴きを記録している。例年クマゼミの初鳴きは7月10日前後だが、今年は7月12日だった。「もっと早やくに鳴いていたよ」という人もいるが、自宅から私の耳でハッキリ聞いた日を初鳴きと記録することにしている。もっとも、最近私もだいぶ耳が遠くなったので本当の初鳴きを聞き漏らしているかも知れないが。

セミの一生は「幼虫7年成虫7日」と言われる。成虫になるとオスは毎日声高に鳴いてメスを呼び子孫を残す行動をする。メスが木の幹に卵を産んでオスもメスも目的を達成したら寿命が尽きてわずか7日で死んでしまうという。卵は翌年の夏に孵化して幼虫になり地下に潜って約7年を過ごす。羽化の時期が来た幼虫は地上に出て木の幹などに上って羽化するが、羽化するのは外敵から狙われないように必ず夕暮れの暗くなってからだ。だから羽化する姿を見つけるのはなかなか難しい。佐鳴湖公園に行ったらセミの抜け殻があった。

セミが羽化を始めるのは必ず梅雨が明ける前後からだ。セミが鳴き始めたら梅雨が明けたということだ。生き物は本能で季節を敏感に感じている。季節感は気象庁よりも正確だ。それにしても、近年の梅雨の降り方は異常だ。昔はしとしと風情のある雨だったが、最近の梅雨は日本のどこかで線状降水帯なるものが発生して豪雨被害が頻発する。そのことをセミたちはどう感じているのだろうか。「人間が地球環境を悪くして温暖化が進んでしまっていい迷惑をしている」と思っているのだろうか。何年か前に、梅雨が明けないまま8月になって、羽化するタイミングを失ったセミの幼虫が地上で何匹も死んだ年があった。(2023.7.24)

「令和つれづれ草」トップ