アンドレのフォト・エッセイ「令和つれづれ草」No.110

「アジサイの花とタカツムリ」

アジサイの花

6月は梅雨の季節だがアジサイの花の季節でもある。いま我が家の庭にも種類の違うアジサイの花が6本ほど咲いている。アジサイの原種は日本に自生するガクアジサイで、最近は園芸店に行くと品種改良されたガクアジサイの花の種類の多いのに驚く。でもわたしは品種改良された華やかな花よりも、素朴で清楚な感じの日本古来の山アジサイが好きだ。

アジサイの語源は「藍色が集まったもの」を意味する「あずさい(集真藍)」が訛ったものと言われる。日本名の「紫陽花」はその昔中國の詩人「白居易」が、ある寺を訪れた時に咲いていたライラックの花を「紫陽花」と名付けた。日本では平安時代に誤ってアジサイの花に「紫陽花」の漢字を当てて広まってしまったという。

一般に花と言われている部分は装飾花でガク片が変化したもので、中央に小さく密集しているのが本当の花(真花)だというのはほとんどの人が知っている。また花の色も土壌の酸性度によって酸性なら青色になり、アルカリ性なら赤になるのもよく知られている。赤いアジサイを庭に植えたはずなのに青い花が咲いた経験がある。挿し木で繁殖できるので栽培が簡単なのも素人にはうれしい。冬には葉が落ちて枝を刈り込んでやれば、春にはまた枝がすくすく伸びて梅雨の時期になれば必ず花が咲いてくれる。

むかしは梅雨の時期にアジサイの花といえばカタツムリだったが、最近はカタツムリの姿を全く見なくなった。除草剤やナメクジ駆除剤などの使用、都市部では落ち葉が片付けられたりして土壌が乾燥して、カタツムリの生育環境が減少しているのが原因とも言われている。先日「はままつフラワーパーク」へアジサイの花を見に行った。会場内のいたるところにアジサイの花が咲いていて綺麗だった。でもカタツムリは一匹も見えなかった。(2023.6.25)

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