アンドレのフォト・エッセイ「令和つれづれ草」No.108

「八重咲ドクダミの花」

八重咲ドクダミの花

初夏の今ごろ、庭中いたる所にドクダミの白い花が一斉に咲いている。地下茎で縦横無尽に庭を埋め尽くすように繁茂し、独特の臭気があるので嫌われ者の植物である。以前余りにも繁茂しすぎたので、地下茎を掘って駆除しようとしたが、千切れた地下茎から次々に根が生えて繁殖するので根絶は不可能と諦めた。このような繁殖力の旺盛な雑草を難防除雑草と言うそうだ。

そんな嫌われ者のドクダミだが、初夏に一斉に白くすがすがしい可愛い花が咲く。どこかの山野草の展覧会で八重のドクダミの花を見て、あまりの可愛らしさに欲しくなって花屋を探したがなかった。そんな話をパソコン教室の生徒さんに話したら、「うちの庭に咲いているよ」と数株持ってきてくれた。路地に植える気はなかったので鉢で育てていたが、いつの間にか路地に生えて、今や庭中一重と八重のドクダミの花が一斉に咲いている。やはりどこかでいただいた赤い斑入りの葉のドクダミも咲いている。

名前はドクダミだが毒があるわけではない。昔から葉や茎を乾燥させたものを「十薬(じゅうやく)」という生薬として知られ、煎じて飲むと利尿作用、動脈硬化の予防、解熱や解毒などに効果があり、ニキビや吹き出物にも効果があるという。葉は乾燥させてドクダミ茶として飲用される。葉は過熱すると臭気が和らぎ、天ぷらにしたり味噌和えにしたり、おひたしや胡麻和えにすることもあるという、正に万能で有益な植物なのだ。

雑草の花は好きだけど、それにしても庭中増えすぎたドクダミを、何とか余分なところは少し整理したいと思っているのも本音なのだが。(2023.5.28)

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