アンドレのフォト・エッセイ「令和つれづれ草」No.105

「人体の消費期限」

人体

食品には賞味期限と消費期限があるが、人間の身体にも消費期限があるように思う。昔は人生50年といったが、いまは医学が進歩し栄養事情も良くなったので平均寿命が伸びているが、とりあえず男性の平均寿命まで生きてきた私の経験では、70歳くらいが人体の消費期限ではないかと思う。

個人差はあるが、私は60代までは尿管結石の持病はあったが、特に命の問題もなく元気に生きてきた。ところが70歳を過ぎたころから階段の上り下りに膝の痛みを感じるようになり、草取りを長時間やると腰痛に悩まされるようになった。

ギックリ腰は何度も経験しているが、ある日寝て起きたら歩けなくて這ってトイレに行ったが、トイレに座ることもできなかった経験がある。耳が遠くなり、3年前には白内障の手術もした。若い頃は歯は丈夫なのが自慢だったが、昨年ビールのつまみの堅いナッツを食べたら歯が縦に割れてしまった。70歳を境に身体のあらゆる部品の質の劣化を実感するようになった。人間の身体も加齢による経年劣化は避けられないのだ。こんな話を友人に言うと「わたしも、わたしも・・・」とみんな同じ経験をしていることが分かった。

毎年2月に人間ドックで身体の検査をしてもらっている。3年前から「前立腺肥大疑」を指摘され毎年再検を受けるようになった。今年初めて心電図で不整脈を指摘され、循環器科の再検を受けるよう指導された。心電図の指摘は初めての経験なので少しビックリした。24時間心電図を記録する「ホルター」という機材を胸に付ける検査を受けた。

24時間心電図の記録結果について詳しい説明を聞いた。私の症状は「心室性期外収縮」というのだそうだ。「あなたの不整脈は24時間で1450回記録されている」と聞いてびっくりしたが、私の心臓の脈拍は24時間に約8万回あり、不整脈はそのうちの2%以内で全く心配ない数値との説明だった。「たまたま人間ドックで2%に当たったようだけど、心臓も丈夫だし全く問題ないですよ」との説明を聞いて安心した。4月10日で81歳を迎えた私の心臓は1日に8万回も脈打ち、これまでに23億回以上も休みなく働き続けてきたことになる。劣化しないわけはないが、もうしばらく元気で頑張ってもらいたいと願っている。(2023.4.10)

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