アンドレのフォト・エッセイ「令和つれづれ草」No.91

「今年の柿は豊作だ」

柿

我が家の庭にほとんど手入れをしない小さな次郎柿の樹が1本ある。昨年は最後まで落果することなく止まってくれた実はたったの2個だったが、今年は落果も少なく50個ぐらい見事に実った。冬に一度肥料をやっただけ、花の蕾の頃に消毒するのも忘れていたが、こんなに実ったのは初めてだ。せっかく生った実はもったいないので摘果などしないから少し小ぶりだ。

だいぶオレンジ色に色づいたころ、ヒヨドリがつつき始めたので急いで収穫した。毎朝食後のデザートにいただいているが、我が家の完熟した無農薬の次郎柿の甘さに満足している。

毎年浜北区大平のかみさんの柿農家の友だちに東京の親戚へ次郎柿を送ってもらっている。次郎柿は遠州地方の特産なので東京では珍しくとても喜ばれる。しかし、昨年は大平の柿農家もカメムシの大量発生で全滅状態だったと聞いている。昨年は不作ではじめて親戚へ送ることができなかったが、今年はどこの柿園も豊作のようだ。

次郎柿は江戸後期に森町の松本治郎吉が太田川で見つけた幼木を自宅で植えたのが始まりと言う話はよく知られている。森町に次郎柿の原木があり見学に行ったことがある。はじめは「治郎柿」と言っていたが、戦後になって「次郎柿」と言われるようになったという。

甘柿の代表の「富有柿」と「次郎柿」はよく比較される。「富有柿」は岐阜県原産の品種で丸くふっくらした形状で赤みが強くフルーティ―な味わいだ。一方「次郎柿」は四角く硬めで「シャキッ!」とした歯ごたえが特徴だ。富有柿は顎で食べて、次郎柿は歯で食べるとも言われる所以だ。私は次郎柿の方が好きだが、「シャキッ!」とした歯ごたえは、もぎたてを食べないとそのほんとの歯ごたえは味わえない。少し日が経つと赤く熟して柔らかくなってしまうが、その方が好きという人もいる。それぞれ特徴があり好みの問題だ。来年のために「柿の剪定と肥料と消毒の仕方」を勉強しなければと思っている。(2022.10.28)

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