アンドレのフォト・エッセイ「令和つれづれ草」No.87

「今年の夏も暑かった」

温度計

年々夏の暑さが厳しくなっていると感じている。9月に入っても毎日暑い日が続くが、とにかく今年の夏も暑かった。8月の夜寝る時間帯の2階の寝室の温度が連日30度を超えて、最高は34度だった。気密性の高い最近の住宅は、夜になっても温度が下がらない。気象庁の記録によれば、50年前の1972年の浜松の8月の日中の最高気温が30度を超えたのは11日間で、最低気温が25度を超えたのは7日間だった。

それが50年後の今年2022年8月はどうだったか?日中の30度を超えた日は何と28日間で2.5倍以上、最高気温は8月3日の37.5度だった。ほとんど毎日30度を超えていたことになる。最低気温が25度を超えたのも20日間と3倍だ。確実に温暖化が進んでいるのが分かる。

50年前は網戸と扇風機だけで快適に寝ていた記憶がある。エアコンを付けて寝ると翌朝身体がだるくなって嫌いだったので、36年前に自宅を新築した時も寝室にはエアコンは設置しなかった。しかし、2018年8月17日に浜松市で熊谷市と並んで日本歴代最高気温の41度を記録したからたまらない。さすがに我慢の限界というより生命の危険を感じて、2019年の夏に、遂に我が家の寝室にエアコンを設置せざるを得なくなった。まさにこの暑さは災害級といっていい。

「今年は夕方庭の草取りをしても蚊が少ないね」とかみさんが言った。確かに、そういえば今年は庭に出ても余り蚊が飛んでいないような気がした。ある大学の研究で、気温が35度以上になると蚊は本能的に危険を察知して活動しなくなることが分かっている。人間はこんな時でも外で活動しなければならない人もいるが、まさに人間の危機能力は蚊以下と言える。

今年の夏の甲子園は、仙台育英高校の初優勝で無事終わったが、「夏の甲子園も酷暑が恒常化している今日、選手の健康・安全のため8月開催が妥当かどうか検討する段階にきている」との話が出ている。高野連も朝夕の二部制を検討するとしている。ある知人が「夏のこの暑さを蓄熱して、冬に利用できないか」と言っていた。それができればノーベル賞ものだ。こんなに夏が暑くてもやはり冬は寒くなるらしい。冬の冷気も保存して夏に活用できれば猛暑も酷暑も一気に解決しそうだ。これまで不可能を可能にしてきた人間の知恵でぜひ実現してもらいたいものだ。(2022.9.10)

「令和つれづれ草」トップ