アンドレのフォト・エッセイ「令和つれづれ草」No.84

「シオカラトンボとムギワラトンボ」

ムギワラトンボ

「7〜8月の盛夏になると、シオカラトンボとムギワラトンボがたくさん飛び交うようになる」と言うのは昔の話で、今ではその姿を見るのも珍しくなってしまった。日本では最も親しまれているトンボの一つだが、シオカラトンボとムギワラトンボは同種のトンボで、シオカラトンボのメスが麦わらに似ているので通称ムギワラトンボと言っている。シオカラトンボがオスでムギワラトンボはシオカラトンボのメスなのだ。

シオカラトンボの名前の由来は、白色のその姿が塩辛昆布に似ているからとされる。この白色の正体はワックス質の粉で、なめても辛くはない。最近の研究で、この粉が紫外線を反射することが分かったという。これにより真夏の日差しの下でも元気に活動できるのだそうだ。紫外線対策は人間よりも進んでいたのだ。

7月のある日、我が家の庭にムギワラトンボがやって来た。うれしくなってトンボ採りに夢中になった幼い頃を思い出してしまった。もう昔のように網でトンボを捕るようなことはことはできない、貴重なその姿をいとおしく眺めるだけだ。せめて記念に写真を撮って置いた。(2022.8.21)

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