いつもウォーキングに行く佐鳴湖の湖畔に、朽ちた老木が1本立っている。地上から2メートルほどで切られた幹の中は空洞でほとんど皮だけの状態だ。そんな朽ち果てた幹の上から、春になったら伸びた新しい枝に若葉が出て来たのだ。何という種類の木なのか知らないが、植物の生命力には驚かされる。
人間はおおむね60歳を過ぎると髪の毛は白くなったり禿げてきたり、間違っても再び黒い髪がふさふさと生えてくることはない。動物は生まれた時から死に向かって歩み続ける。人間はせいぜい長生きして100歳だ。植物だって寿命はあるが、樹木に関しては樹齢何百年、あるいは数千年などという神の領域まで生き続けているものもある。もちろん全ての樹木がそんなに長生きできるわけではないが、それにしても動物と植物の生命力の違いは何なのだろうか。
世界最古の樹木はスウェーデンで発見された針葉樹は、高さは4mと低く外に見える部分は古代のものではないが、根は9550年にわたって成長してきたことが分かったという。日本一は言わずと知れた屋久杉で、樹齢7200年と言われているが、その後の調査では2700年とも言われている。ちなみに浜松一の巨木は水窪町の「山住神社の杉」と春野町の「春埜杉」は共に樹齢約1300年だ。巨木を訪ねて、その生命力に感動するのも私の好きな世界だ。(2022.5.28)