アンドレのフォト・エッセイ「令和つれづれ草」No.74

「野の花の季節」

野の花

春は一斉にいろいろな花が咲く野の花大好き人間にとって楽しい季節である。低地の湿地などに咲くムラサキケマンも咲き始めた。ケシ科コマクサ属で斜めに傾く長い総状花序に淡紅色の花がたくさんぶら下がる。ケマンは漢字で「華鬘」と書く。仏さまを祀る仏具のひとつで、その模様が似ていることから名付けられた。黄色い花のキケマンもある。

茎を折ると悪臭があり有毒だ。食べて死ぬことはないと思うが嘔吐や呼吸麻痺、心臓麻痺が起こるともいわれる。ウスバシロチョウの幼虫はムラサキケマンを食べて大きくなり、毒を体の中にためて有毒の蝶になる。綺麗な花や蝶には毒があるから注意しないといけない。

この植物は越年草と言って少し複雑な生活を送る。種子は6月頃成熟するが、これが発芽するのは翌年の春で初夏まで成長した後、地上部は枯れて地下に団子状の塊茎を残す。再び活動するのはその年の秋で、数枚の葉を出して越年し、春になると花茎を立てて花をつけ、結実すると全体が枯れるのである。通称ペンペングサというナズナも越年草の仲間だ。(2022.4.3)

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