アンドレのフォト・エッセイ「令和つれづれ草」No.68

「ヌートリアに再会」

ヌートリア

3年ほど前に一度お目にかかったことがあったが、その後しばらくご無沙汰だった佐鳴湖のヌートリア。正月過ぎに佐鳴湖にウオーキングに行ったら、湖畔沿いをゆうゆうと泳いでいるヌートリアに久しぶりに再会した。

ヌートリアは南米原産の大型ネズミの仲間。軍隊の防寒着の毛皮の採取に利用するため、明治時代に日本に持ち込まれたという。その後川に放され繁殖し続けて現在に至っている。体長は40〜70センチ、長い尻尾と小さな耳が特徴で歯は噛む力が強く、大体のものは噛み切っていまう。足の爪も鋭く後ろ脚にだけ水かきがついて泳ぎが得意だ。生活拠点は川や小沼などで、佐鳴湖は絶好の住処だ。夜行性で活動時間は朝と夕方、昼間は巣の中で休んでいるので、なかなかに日中はお目にかかれない。

性格はおとなしく危険を察知しなければ人を襲うことはないが、歯は指を噛み切る力があるので危険だ。寿命は5〜10年で、1年間に2〜3回、1回に5匹前後出産するので、ネズミ算的に増える。エサは水中や水際に生えている水性植物の根や茎の部分だが、ニンジンやサツマイモなど農業被害や希少植物への影響が懸念されるため、「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」に基づき、特定外来生物に指定されている。水辺の土手などに穴を掘って巣を作るので、地盤が崩れたり、最悪の場合堤防が決壊することもあるという。

しかし個人で勝手に駆除することは禁じられているので、発見したら自治体に連絡して駆除してもらうことになっている。特定外来生物はほかにもアライグマやハクビシン、タイワンリスなどたくさんあるが、どれも生存力がたくましいので、これらの駆除にはいたちごっこが続く。(2022.1.23)

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