アンドレのフォト・エッセイ「令和つれづれ草」No.58

「珍しい昆虫ナナフシ」

ナナフシ

10月のある日、我が家の石垣にいるのを偶然見つけた。初めは石垣の色と同じでよくわからなかった。ジッと同じ姿勢で、近づいても逃げず、簡単につかむことができたので柿の葉に移動してもらって記念撮影した。しかし翌朝柿の葉を見てみたが、どこに移動したのか見つからなかった。余り動かないと言っても必要な時はちゃんと動くのだ。

ナナフシは世界に2500種いるとされるが、日本では18種ほどだそうだ。基本的に熱帯地域を好む昆虫で東南アジアではよく見かけるが、日本では固体数が少なくめったに見られない。ほとんどの種類が緑色か茶色、黒色をしており、英語では「Stick insect」と呼ばれ、まさに棒状の昆虫は、背景の葉っぱや枝に擬態化してジッとしているので見つけにくい。いわば「昆虫版ナマケモノ」といった感じだ。

ナナフシ(七節)といっても、節が七つあることではなく、たくさん節があるという意味だ。ところがナナフシの正式和名は「ナナフシモドキ」という。普通は「似て非なるもの」を「・・・モドキ」というが、「木の枝のたくさんある様子に似ている虫」ということで「ナナフシモドキ」が正式名称になった。がナナフシは種類がたくさんあって、一般的には総称して「ナナフシ」と言っている。

ナナフシは羽のある飛ぶ種類と、羽が退化した飛べない2種類があるが、オスがいなくても次世代が残せる単為生殖の昆虫で、野外にいるナナフシはほとんどがメスだそうだ。たまにオスがいるのは極めてまれな現象だそうで、日本では今までオスのナナフシの発見は十数例しかないという。ごくまれに誕生するオスのナナフシは積極的に交尾するというが、そんなオスの存在理由がまだよくわからないらしい。単為生殖はほかにゴキブリやアブラムシなどもそうだ。

少子化による人口減少が社会問題になっている日本。結婚する若者が少なくなって益々少子化に拍車がかかっている。医学が進んで、やがて人間も単為生殖になって女性だけで子孫が残せる時代が来るかもしれない。そうすれば少子化問題は解決するかもしれないが、男性が次世代の誕生のお役に立てない時代が来たら、想像しただけでもつまらない世の中だ。もっとも、そうなったらこの世から男性はほとんどいなくなっている。(2021.10.24)

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