アンドレのフォト・エッセイ「令和つれづれ草」No.55

「ヒガンバナ(彼岸花)」

ヒガンバナ

9月の彼岸の頃になると、とつぜん花茎が伸びて花を咲かせるヒガンバナ。花が咲く時は葉っぱがないので、何もないところからとつぜん花が咲く感じで、しかも必ず彼岸の頃に合わせて一斉に咲くのが不思議だ。猛暑だった昨年は残暑が長く、9月の冷え込みが少なかったからか開花が遅く、秋分の日を過ぎてから咲き出した記憶があるが、今年は彼岸の入りにも十分間にあった。我が家の白いヒガンバナも15日には満開になった。

ヒガンバナは種を付けることができなので、他の植物のように風や鳥に運んでもらうことができないため人の手で球根が植えられ、球根の株別れか地続きの繁殖で広がるとのこと。田んぼのあぜ道に群生していることが多いが、球根には毒性があり、モグラやネズミを寄せ付けない効果があるので、先人たちは田や畑のあぜ道にヒガンバナを植えたという。土葬をした時代のお墓にもモグラからご遺体を守るため植えられたと言う。

花弁が反り返り、長い雄しべと雌しべが突き出る独特の美しい花形が一斉に群生している姿は見事です。必ず彼岸に咲くことから「彼岸花」のほか、仏教の経典からサンスクリット語で「天界に咲く花」を意味する「曼殊沙華」の別名もある。しかし、ヒガンバナは葉っぱと花を同時に見ることがないことから「葉見ず花見ず」とも言われ、昔の人は恐れをなして地方によっては「幽霊花」や「地獄花」と呼ぶこともあるそうだ。「彼岸の花」として霊的なものを感じさせ忌み嫌われる部分もあるようで、美しくても生け花にしたり贈り物に使われることはない。

浜松周辺では、私の知る限りでは奥山方広寺へ行く途中の引佐町黒渕地区や二俣町から春野町へ行く途中の山東地区の街道沿いにヒガンバナの群生が見られる。2018年9月にはYさんに紹介された半田市の矢勝川堤防の300万本の見事なヒガンバナを見に行った記憶がある。半田市は「ごんぎつね」で有名な児童文学者新美南吉の出身地で、すぐ近くに「新美南吉記念館」があり訪問し勉強になりました。(2021.9.20)

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