アンドレのフォト・エッセイ「令和つれづれ草」No.53

「ヒヨドリ誕生」

ヒヨドリ誕生

連日の日照りと猛暑が続いた8月の初め、朝夕の庭の水まきが欠かせなかった。キンモクセイの木に水を掛けるたびにヒヨドリが飛び出してきたので、「もしや?」と思い木の中を覗いたら、いつの間にか鳥の巣ができていて、まだら模様の小さな卵が三つ産卵してあった。卵を確認したのが8月6日、それから毎日観察していたが、ヒナの誕生を確認したのは8月12日で、まだ目も見えず産毛も生えていなかった。それから一気に成長して8月17日の午後には早くも巣から飛び出すのを確認した。野鳥の成長の早いのには驚いた。

ヒヨドリは北海道から沖縄まで日本各地で見られるスズメ目ヒヨドリ科の小鳥で、農村部でも都市部でもよく見られる馴染みの野鳥である。5〜9月が繁殖期で直径20センチほどのお椀型の巣を作って3〜5個産卵し、2週間ほどメスが抱卵して卵がかえった後は10日ほどで巣立つが、最初は余り飛ぶことができないので2か月ほどは親と一緒に過ごすという。

平安時代には貴族の間でヒヨドリを飼うことが流行していたとの記録があるという。雛から育てると人に懐く賢い小鳥のようだ。果実や花の蜜を好み、農村部では果物被害があるため害鳥とされるが、我が家では家庭菜園の菜っ葉を食べられたり、柿の実を突つかれたりするが一切憎んだりはしない。きっと我が家の庭が一番安心安全と選んでくれたのでしょう。我が家の庭は小鳥の子育ての利用にいつでも開放しています。

我が家の50年以上の歴史の中で、庭で野良猫が誕生したことはあったが、小鳥が誕生したのは初めての経験である。ヒヨドリの巣はツバメの巣と同じく縁起物とされる。きっといつか、我が家にも幸運が訪れることを期待している。(2021.8.22)

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