アンドレのフォト・エッセイ「令和つれづれ草」No.48

「オカトラノオの花」

オカトラノオの花

ちょうど今、我が家の庭に純白のオカトラノオの花が咲いている。植えてからもう10年ほどになるだろうか、株が増えて毎年たくさんの花が咲く。サクラソウ科オカトラノオ属の多年草、日本では北海道から九州まで全国で咲く。草原の丘のような場所に群生し、花の列が下から上へと咲きすすみ、先端が虎の尾のように垂れているので「オカトラノオ」という。小さな純白の花が密に帯のように垂れてなんとも美しい。しょせん野に咲く雑草の花だから種が飛んで増えていく。

若い時はそんなに気にも留めていなかったが、野の花が好きになったのは還暦を過ぎてからだ。定年を迎えたころから時間とこころに余裕ができたからか、野に咲く雑草の花を良く見つめるようになって、今まで気が付かなかった野の花の美しさに魅力を感じるようになった。

毎年3月になって暖かくなると野山を歩いて「野の花散策」をするようになった。まず春になると目にするスミレの花は私の大好きな野の花の代表格である。タンポポの黄色い花も一斉に咲き始める。関東タンポポなど日本古来のタンポポと西洋タンポポの違いも知った。ヒメジョオンとハルジョオンも白とピンクの色違いでよく似た花だが、どこにでも目にするポピュラーな花だ。背の高いピンクのノアザミもよく目立つ大好きな花だ。ハルリンドウはどこにでも咲いている花ではないので、見つけるとうれしくなる。

むかしは春になると緑肥として栽培されていたレンゲソウが、まだ水のない田んぼ一面をピンクに染めていたが、今はそんな風景はここらでは余り見かけなくなった。レンゲソウの花を輪にして王冠を作って遊んだ子供時代が懐かしい。数年前まで花の楽園だったところがいつの間にか道路や宅地になっていてガッカリする。ただ何となく見ていた風景も、興味を持つようになると新たな発見や驚きがあり、時代とともに野の花の風景も変わっていく。(2021.6.20)

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